同一ジオメトリーブラザーズ

MTB

FM936のエントリーでも書いたけど、複数メーカーが同一ジオメトリーのフレームを販売しているケースって、ちょいちょいある。

【MTB】
NS Bikes Synonym
NS Bikes – Stay True!
https://i0.wp.com/ep1.pinkbike.org/p4pb18233330/p4pb18233330.jpg?w=1256&ssl=1

Conorbikes WRC
WRC doble suspensión
https://i0.wp.com/www.conorbikes.com/product/image/medium/.110503ngxl_0.jpeg?w=1256&ssl=1

Stevens(発売されなかった模様?)
[Exclusiva] Nueva doble de XC de Stevens, imágenes de su prototipo
https://i0.wp.com/esmtb.com/wp-content/uploads/2019/06/stevens_jura_sl.jpg?w=1256&ssl=1

Vitus Rapide FS CR
Vitus Rapide FS 29 CR 2021 | Chain Reaction
https://i0.wp.com/www.wigglestatic.com/product-media/105631196/Vitus_Rapide-FS-CRS-Mountain-Bike-2021_01.jpg?w=1256&ssl=1

Boltcutter Cycles Groove Pony
Groove Pony – Boltcutter Cycles

*1

【MTBその2】

racextract SPARROWHAWK BFCT1
https://racextract.com/modelle/sparrowhawk/

NESTO PULSAR PRO FrameSet
https://nestobikes.com/products/pulsar-pro-frameset/

※元ネタはWorkswellのWCB-M-299だと思われる
https://www.workswellbikes.com/FULL%20SUSPENSION/wcb-m-299.html

まぁいわゆる「完全に一致!」てやつだね。

当然、MTB以外にもある。

【シクロクロス】
Donnelly C//C
Cyclocross Bikes – Donnelly Cycling
https://i0.wp.com/cdn.shopify.com/s/files/1/2266/8111/products/bike_CC_blue_00_drive_848x1024.jpg?w=1256&ssl=1

Bombtrack Tension C
General 1 — BOMBTRACK

Planet X XLS EVO
Cyclocross Bikes | Planet X
https://i0.wp.com/www.planetx.co.uk/imgs/products/px/950x600_constWH/CBPXXLSEVRIV1_P1-02.jpg?w=1256&ssl=1

guerciotti eureka cx
Guerciotti | Biciclette di pregio dal 1964

guerciotti eureka cx

S1NEO PRIZm CX02 2022 test model
https://www.facebook.com/teams1neoloudeac/posts/148212460405572

 

GHISAILLO GX-110C
http://fukaya-nagoya.co.jp/management/product/gx-110/

 

*2
*3

 

【シクロクロスその2】
THOMUS Sliker X

THOMUS Sliker X

Sliker X • Thömus

 

NESTO CLAUS PRO

NESTO CLAUS PRO

CLAUS PRO FrameSet|NESTO – ネスト

*4

 

【ロードバイク】
Cinelli Pressure
Pressure – Cinelli
https://i0.wp.com/ciclicorsa.com/content/wp-content/uploads/2020/09/Pressure_sidewind-55.jpg?w=1256&ssl=1

 

Atom6 STRADA
Strada – Atom 6 Cycling
https://i0.wp.com/www.atom6cycling.be/wp-content/uploads/2021/01/strada-1-855x569.jpg?resize=855%2C569&ssl=1

 

ENGINE11 MACH1
ENGINE11 — ENGINE11 Mach1 frame set
https://i0.wp.com/assets.bigcartel.com/product_images/253971608/%EB%A7%88%ED%95%98+%EC%B8%A1%EB%A9%B4+700.jpg?w=1256&ssl=1

 

Rollingstone Hider Disc
https://www.facebook.com/292884524736585/posts/rolling-stone-hider-road-disc-brakefull-internal-routing-with-aero-integrated-ba/349786255713078/

 

【元ネタ】
https://bikenewsmag.com/2020/12/18/cinelli-pressure-strikingly-resembles-atom6strada/
https://www.chn-bikes.com/archives/25563445.html

 

【追記】
Cinelli Pressureは100%チネリデザインです、というエントリーを上げました。こちらもご覧ください。

気づいただけでこれだけ(ロードはネタ元あるけど)。結構あるなぁ。とりあえずこいつらは同一ジオメトリーブラザーズ、略して「同ジオ兄弟」と呼ぶことにしよう。

 

これ、どういうからくりなんでしょうね。

以下は想像です。

 

R&D・販売を担当するメーカーと、設計・製造を担当するファクトリーがいる。メーカーは普通、金型の独占使用権を持っている。当然、元を取るためには大量製造/販売が基本になる。まれによくある「メーカーがノルマ押し付けてきてキツイ」の背景だね。

 

大手はこのやり方がメインなんだと思う。ただ、中小規模のメーカーだと、ファクトリーが要求する製造本数を確保できない。そうするとメーカーは競争力のある価格で販売できないし、ファクトリーは利益の出る本数を製造できない。困った。

 

そこで、フレーム(金型)の共同利用スキームの出番

 

メーカーAがR&Dを担当し、ファクトリーは製造を担当する。メーカーAは本来持っている金型の独占使用権を手放し、代わりに価格面のディスカウントを受ける。ファクトリーは他メーカーにもフレームを卸す。購入したメーカーB、Cは塗装を変えて別モデルとして販売する、的な。
エリアフランチャイジー的なものや、2次利用に際してはカスタマイズを要求する、メーカーAしか販売できない優先期間を設ける、などの付帯条件がありそうだけど、基本はこんな感じだろう。

当然、開発メーカーと製造ファクトリーが同じ会社ってこともありえて、そういうのの一部が、いわゆる「中華カーボン」(海外では”Open Mold Frame”)って呼ばれるんだろうと思う。

 

図示するとこんな?

大手による独占利用
中小による共同利用

業界人じゃないので、全部想像だけどw

 

メーカーAのメリット
・安く仕入れることでR&Dコストを早期に回収できる

 

メーカーB,Cのメリット
・既に実績のあるフレームを使うことでR&Dコストを負担しないで済む

 

メーカーA,B,Cのデメリット
・オリジナリティ(≒ブランディング)が上がりにくい
・商圏のバッティングが発生することがある

 

ファクトリーのメリット
・製造台数を増やし、売上・利益増
・金型償却までの期間を短くできる
・フィードバックが増え、品質向上が期待できる

 

顧客のメリット
・個性的なプロダクトを安価に購入できる

デメリットは若干あるが、誰も損しない素晴らし仕組み!上記のシクロクロスのフレームの場合、Donnelly(米)、Bombtrack(独)、Planet X(英)とマーケットの棲み分けが出来てる。日本だとDonnellyとBombtrackが輸入されているのでバッティングしてるけどw

 

スペシャライズドやGIANTなどの巨大企業は資本と大量生産によるコストダウンで勝負し、中小はこういうフレームの共同利用で勝負するということなのかも。仕入価格やR&Dコストを分散できるなら、大手にはできないチャレンジングな製品開発できるしね。

 

こういう金型の共同利用、まぁ昔からあるビジネススキームなんじゃないかな。近年、情報伝播が速く、遠くまで届くようになって、以前より可視化が進んだのだと思う。

なお、同ジオ兄弟は、発見しだいこのエントリーに書き足して行く予定。

 

シクロクロスのFM686については別エントリーを上げました。

【閑話1】
中小の戦略、こういうスキームが流行ると、プロダクトで差別化しにくくて、マーケティングが勝負の分かれ目なのかなぁ。塗装、webページの作り込み、PV、ソーシャルメディアの使い方、どんなライダーをサポートするか、みたいな。

【閑話2】
MTBはたぶんNSがR&Dをやってるんだと思うけど、シクロとロードはどこが担当したんだろうかと疑問が。
シクロクロスの方は、ジオメトリーがめちゃくちゃ良さげで妥協してる感が薄い。中国メーカーが適当に作ったやつではなさそう。Donellyはメインはタイヤメーカーだからフレームの開発能力が低そうだし、Planet Xは元から開発したりしない。オフロードバイクで実績があるBombtrackが担ったのかな?と想像。
ロードは…分からんな。Cinelliの過去のデザインからかなり離れてる(カーボンフレームはスローピングが多い)し、Atom6はかなり企業規模が小さそうだし。デザイン的には自分の持ってるICANと雰囲気が似てるんだよなぁ。どこかは分かんないけど、中国のメーカーが設計に深く関わってそうな気がする。

 

【20210218追記】
VITUSとENGINE11を追加

【20210503追記】
RollingstoneとS1neoを追記

【20210706追記】
Boltcutter Cyclesを追加

【20210729追記】
THOMUSとNESTOを追加

【20211102追記】
GHISAILLOを追加

*1:NSとそれ以外のバイクは、リアバックが別デザインになってるから完全同一ではない。海外のフォーラムなんかを見てると、どうも後ろ三角部はNSが独占的に使用できる契約みたいだ。

*2:これらも完全に同じではない。BBが異なる(DonnellyはBB86、BombtrackはT47、Planet XはJIS、Guerciottiはプレスフィット)し、ケーブルルーティングも少し違ってる

*3:Guerciottiはオフィシャルサイトにジオメトリー表が載っておらずちょっと自信無し

*4:THOMUSはケーブル完全内装、NESTOはヘッド部外装でワイヤリングが異なる

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