グラベルライドの下りでは一般的に下ハンを持つというのが定説ですが、実際は状況依存的で、かならずしも下ハン持つべしとはならない、というのが本エントリーの主張です
グラベル下りは下ハンを持つ
グラベルでは下ハンを持ちましょう、という意見を良く見ます
下ハンのグリップ幅が広がるため、荒れた路面や下り道、ダンシング時の安定感を高められるのが主な利点です。
グラベルロードで幅広なフレアハンドルを用いるのは、荒れた路面でもバイクをコントロールし易くするためだ。

広いハンドル幅で安定性を高めたいです。
グラベル乗りとして日本でも指折りに上手と思う3UPの三上さんもグラベルの下りは下ハンがメインですね
グラベル=ブラケットポジションの人も多い
一方で、ほぼブラケットポジションで走る人も多いです
ブラケットを使う例としてはこんなのが。海外の激うまライダーJustin Abbott氏
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これにはまったく及びませんが自分もほぼブラケットポジションです
ブラケットと下ハンの特徴
最近グラベルバイクに標準装備されるようになったフレアタイプのバーで説明します
ブラケット
画像の通り、手の位置は高く、遠く、狭くなります
- 上体が上がるので、バイクのフロントを持ち上げる動作がやりやすい
- アイポイントが上がり、見通しの悪いところでは視界を確保しやすい
- 反面、手の位置が狭いのでバイクの挙動はやや不安定
下ハン
画像の通り、手の位置は低く、近く、広くなります
- 上体が下がり、バイクのフロントに荷重を掛けられる
- 手の位置が広いのでバイクを安定させやすい
- 反面、アイポイントが下がり路面変化を追いにくい
- 体重が前に掛かり、バイクを持ち上げる動作がしにくい
それぞれにネガポジ両面がありますが、不安定だがそれを利用してバイクを振り回すブラケットポジション、しっかり荷重を掛けて安定感を出す下ハンポジション、と言えます
ブラケット下ハンのまとめ
まとめるとこう
ブラケット | 下ハン | |
手の位置 | 高い、遠い、狭い | 低い、近い、広い |
重心 | 高い | 低い |
アイポイント | 高い | 低い |
動作 | プッシュプル | フロントタイヤを路面に押し付ける |
志向 | 操作性重視(スキル) | 安定性重視 |
シーン | 倒木、石、溝を超えるような、積極的なアクションが必要なシーン。路面が非定常的で頻繁な姿勢制御が必要な場面 | 定常的なμが一定のハードパックで、フロントが逃げないように荷重して曲がるシーン。逆に激しいガレ場でハンドルから手が離れてしまいそうなシチュエーション |
コミュニティ内での意見
コミュニティ内でヒアリングしたんですが、ブラケット派と下ハン派の意見はこんな感じでした
ブラケット派の意見
上ハンのほうが腕の柔軟性を使えるのでバイクを制御しやすい。ホームコースくらいの難易度低めのトレイルまでは上ハンですね。大きいドロップオフがあるような場合はスッポ抜け予防で下ハンですが殆ど上ハンで走ってます。度付きサングラス使用なのですが下ハンだとレンズの上端付近を見ることが多くなり、視野が狭いというのも理由
ちなみにこの方はスキルフルなMTB経験ライダーです
下ハン派の意見
グラベルマスターの方々に下りでは下ハン持つように言われて練習して以来、下ハンになりました。昔はグラベルの下りが怖かったんですが、全く恐怖心がなくなりました。重心が安定するのと、体重移動しやすいのでカーブが曲がりやすい気がします。最初は下ハン持つと目線が低くなるので視界が狭くなる気がして逆に怖かったので、ロードライドの時に下ハン持つことで慣れました
ちなみにこの方はローディーからグラベルにデビューした方です
どっちが正解・不正解というわけではなく、どちらも正解でそれぞれ自分に合ったポジションで走っていると思います
ちなみにXでアンケート取ったらブラケットポジションと下ハンの比率は約半々ってところです。やや下ハン比率が高いですね
ポジションに影響を与える要因
現時点ではブラケット、下ハンどちらを使っても正解で、そしてライドを構成する全ての要因がそのポジションに影響します
ライダーのスキル
まずはスキルですね。さっきのJustin Abbott氏のライドが典型的ですが、スキルがあるライダーはバイクを振り回せるブラケットポジションを好む傾向があるようです。一方でロードバイクからグラベルに来た人、あるいはスポーツサイクル未経験でグラベルデビューした人は下ハンを持つ傾向があるようです
このトピックをやや難しくさせているのは、スキルフルなライダーと、割と初心者、どちらもブラケットポジションを好むということですね。かたやバイクを振り回し、こなた地蔵乗りですが、結果だけ見ると同じになる
路面状況
あとは路面コンディションです。高速のハードパックは下ハンが良さそうですし、見通しの悪いシングルトラックはブラケットポジションが向いてるでしょう。そもそもシングルトラックをグラベルバイクで走るのがどうなの、みたいな話は別として(笑)
ハンドルバー形状
ドロップ量が少ないハンドルバーは下ハンが使いやすいようです。手が低いと身体が固定されてネガティブな要素となるからでしょう
バイクのセットアップ
バイクのジオメトリー、ハンドルバーの取り付け高さ、タイヤ太さ、サスペンションフォークの有無なども当然影響します
ブレーキ形式
機械式ディスクブレーキの方は下りで制動力が不足しがちで、それを補うために下ハン持つ傾向があるようです。翻って油圧ブレーキは制動力の制約が無いため好きなポジションを取れます
乗る人、路面、バイクによって手の位置は変わってくる、と言えるでしょう
本エントリーのまとめ
- ブラケットポジションはバイクを振り回しやすく、視界を高く持てることと相まって、路面状況変化が激しいライドに向いています。また、MTBやトライアルスキルを持っている人はこちらを好む傾向が見てとれます
- 下ハンポジションは手を幅広く持ってバイクを安定させられ、路面にタイヤをしっかりグリップするライドに向いています。MTBのバックグラウンドが無い人はこちらを好む傾向があるように見えます
- ブラケット、下ハンどちらが正解ということはなく、バイク、路面状況、乗り手のスキルや好みによる部分が大きいようです
グラベルライドの下りでは一般的に下ハンを持つという言説を多く見かけますが、実際は多くの要因が影響し、誰もがいつでも下ハン持つべしとは限らないです。ブラケットポジションと下ハンポジション、それぞれの特徴を理解して適切なポジションを取るのが良いんじゃないかな、という話でした
そしてグラベルバイクに関するテクノロジーはまだまだ発展途上で、機材の変化とともにその乗り方もどんどん変わっていくんじゃないかな
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