FM936のエントリーでも書いたけど、複数メーカーが同一ジオメトリーのフレームを販売しているケースって、ちょいちょいある。
【MTB】
NS Bikes Synonym
NS Bikes – Stay True!
Conorbikes WRC
WRC doble suspensión
Stevens(発売されなかった模様?)
[Exclusiva] Nueva doble de XC de Stevens, imágenes de su prototipo
Vitus Rapide FS CR
Vitus Rapide FS 29 CR 2021 | Chain Reaction
Boltcutter Cycles Groove Pony
Groove Pony – Boltcutter Cycles
【MTBその2】
racextract SPARROWHAWK BFCT1
https://racextract.com/modelle/sparrowhawk/
NESTO PULSAR PRO FrameSet
https://nestobikes.com/products/pulsar-pro-frameset/
※元ネタはWorkswellのWCB-M-299だと思われる
https://www.workswellbikes.com/FULL%20SUSPENSION/wcb-m-299.html
まぁいわゆる「完全に一致!」てやつだね。
当然、MTB以外にもある。
【シクロクロス】
Donnelly C//C
Cyclocross Bikes – Donnelly Cycling
Bombtrack Tension C
General 1 — BOMBTRACK
Planet X XLS EVO
Cyclocross Bikes | Planet X
guerciotti eureka cx
Guerciotti | Biciclette di pregio dal 1964
S1NEO PRIZm CX02 2022 test model
https://www.facebook.com/teams1neoloudeac/posts/148212460405572
GHISAILLO GX-110C
http://fukaya-nagoya.co.jp/management/product/gx-110/
【シクロクロスその2】
THOMUS Sliker X
NESTO CLAUS PRO
CLAUS PRO FrameSet|NESTO – ネスト
【ロードバイク】
Cinelli Pressure
Pressure – Cinelli
Atom6 STRADA
Strada – Atom 6 Cycling
ENGINE11 MACH1
ENGINE11 — ENGINE11 Mach1 frame set
Rollingstone Hider Disc
https://www.facebook.com/292884524736585/posts/rolling-stone-hider-road-disc-brakefull-internal-routing-with-aero-integrated-ba/349786255713078/
【元ネタ】
https://bikenewsmag.com/2020/12/18/cinelli-pressure-strikingly-resembles-atom6strada/
https://www.chn-bikes.com/archives/25563445.html
【追記】
Cinelli Pressureは100%チネリデザインです、というエントリーを上げました。こちらもご覧ください。
気づいただけでこれだけ(ロードはネタ元あるけど)。結構あるなぁ。とりあえずこいつらは同一ジオメトリーブラザーズ、略して「同ジオ兄弟」と呼ぶことにしよう。
これ、どういうからくりなんでしょうね。
以下は想像です。
R&D・販売を担当するメーカーと、設計・製造を担当するファクトリーがいる。メーカーは普通、金型の独占使用権を持っている。当然、元を取るためには大量製造/販売が基本になる。まれによくある「メーカーがノルマ押し付けてきてキツイ」の背景だね。
大手はこのやり方がメインなんだと思う。ただ、中小規模のメーカーだと、ファクトリーが要求する製造本数を確保できない。そうするとメーカーは競争力のある価格で販売できないし、ファクトリーは利益の出る本数を製造できない。困った。
そこで、フレーム(金型)の共同利用スキームの出番
メーカーAがR&Dを担当し、ファクトリーは製造を担当する。メーカーAは本来持っている金型の独占使用権を手放し、代わりに価格面のディスカウントを受ける。ファクトリーは他メーカーにもフレームを卸す。購入したメーカーB、Cは塗装を変えて別モデルとして販売する、的な。
エリアフランチャイジー的なものや、2次利用に際してはカスタマイズを要求する、メーカーAしか販売できない優先期間を設ける、などの付帯条件がありそうだけど、基本はこんな感じだろう。
当然、開発メーカーと製造ファクトリーが同じ会社ってこともありえて、そういうのの一部が、いわゆる「中華カーボン」(海外では”Open Mold Frame”)って呼ばれるんだろうと思う。
図示するとこんな?
業界人じゃないので、全部想像だけどw
メーカーAのメリット
・安く仕入れることでR&Dコストを早期に回収できる
メーカーB,Cのメリット
・既に実績のあるフレームを使うことでR&Dコストを負担しないで済む
メーカーA,B,Cのデメリット
・オリジナリティ(≒ブランディング)が上がりにくい
・商圏のバッティングが発生することがある
ファクトリーのメリット
・製造台数を増やし、売上・利益増
・金型償却までの期間を短くできる
・フィードバックが増え、品質向上が期待できる
顧客のメリット
・個性的なプロダクトを安価に購入できる
デメリットは若干あるが、誰も損しない素晴らし仕組み!上記のシクロクロスのフレームの場合、Donnelly(米)、Bombtrack(独)、Planet X(英)とマーケットの棲み分けが出来てる。日本だとDonnellyとBombtrackが輸入されているのでバッティングしてるけどw
スペシャライズドやGIANTなどの巨大企業は資本と大量生産によるコストダウンで勝負し、中小はこういうフレームの共同利用で勝負するということなのかも。仕入価格やR&Dコストを分散できるなら、大手にはできないチャレンジングな製品開発できるしね。
こういう金型の共同利用、まぁ昔からあるビジネススキームなんじゃないかな。近年、情報伝播が速く、遠くまで届くようになって、以前より可視化が進んだのだと思う。
なお、同ジオ兄弟は、発見しだいこのエントリーに書き足して行く予定。
シクロクロスのFM686については別エントリーを上げました。
【閑話1】
中小の戦略、こういうスキームが流行ると、プロダクトで差別化しにくくて、マーケティングが勝負の分かれ目なのかなぁ。塗装、webページの作り込み、PV、ソーシャルメディアの使い方、どんなライダーをサポートするか、みたいな。
【閑話2】
MTBはたぶんNSがR&Dをやってるんだと思うけど、シクロとロードはどこが担当したんだろうかと疑問が。
シクロクロスの方は、ジオメトリーがめちゃくちゃ良さげで妥協してる感が薄い。中国メーカーが適当に作ったやつではなさそう。Donellyはメインはタイヤメーカーだからフレームの開発能力が低そうだし、Planet Xは元から開発したりしない。オフロードバイクで実績があるBombtrackが担ったのかな?と想像。
ロードは…分からんな。Cinelliの過去のデザインからかなり離れてる(カーボンフレームはスローピングが多い)し、Atom6はかなり企業規模が小さそうだし。デザイン的には自分の持ってるICANと雰囲気が似てるんだよなぁ。どこかは分かんないけど、中国のメーカーが設計に深く関わってそうな気がする。
【20210218追記】
VITUSとENGINE11を追加
【20210503追記】
RollingstoneとS1neoを追記
【20210706追記】
Boltcutter Cyclesを追加
【20210729追記】
THOMUSとNESTOを追加
【20211102追記】
GHISAILLOを追加
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