イギリスの通行権とMTB文化

MTB

先日エントリーを上げた「なぜイギリスはMTB大国なのか」がオルタナティブバイシクルズの北澤氏に取り上げられ、多くの人の目に留まったようだ。おかげで貴重なコメントが集まった。本エントリーではその辺を整理して、イギリスのMTB文化の背景に迫りたい。

 

ヒントになったのはこのツイート

MTBがなぜ英国で盛り上がっているのかは、例の白書でも触れていたけど、「通行権」という地主にとっては悪夢のような法律があるのですが、このおかげでジェレミー・クラークソンは美しい郊外の草原をボロいクルマで走り倒しても逮捕されない

通行権 is 何?

 

ja.wikipedia.org

イギリスの通行権(つうこうけん。right of way)とは、イギリスで行われている公共の権利の1種。国有地・私有地の別なく、対象となる土地を突っ切って公衆が通行することが認められる権利。ただし、通行が許可されるのは、その権利の行使が認められた特定の通路のみ。これは、昔からその土地が公衆の通路として使われてきて、現在も通路として使われているのであれば、誰もが自由にそこを引き続き使用し、通り抜ける権利があるという考えに基づくもので、誰もが享受できてしかるべき基本的な権利であると捉えられている。
パブリック・フットパス 主に徒歩
パブリック・ブライドルウェイ 徒歩・馬・自転車
バイウェイ・オープン・トゥー・オール・トラフィック すべての交通手段

right of wayが通行権という権利で、これに基づいて走行が認められている道がFootpathということかな。

 

Footpathsがどんなもんか
www.google.com
美しすぎるでしょ。こんなん近所にあったら毎週サイクリングするわ。
ただ舗装していないしお世辞にも走りやすいとは思えないので、ハードテールのMTBか、今ならグラベルバイクがぴったりなんではないだろうか。

ではこのFoofpath、どの程度の距離があるかというと。FootpathMap.co.ukでは英国内のFootpathの地図が公開されている。
footpathmap.co.uk
140,000 miles of footpaths in the UK(約22万㎞)
20,000 miles of bridleways in the UK(約32,000㎞)
16,000 miles of National Cycle Network(約25,000㎞)
Footpathトータルで約28万km近く。どの程度自転車が走れるかは分からないが相当な距離だ。しかも地図を見るとイギリス全土を網の目のようにカバーしていて、都市部以外の人にとってはかなり親しみがあるのではないだろうか。

CX仲間が渡英経験が豊富で、ちょっとインタビューしてみた。

Q:先生、イギリスはright of wayのおかげでMTBカルチャーが盛んなんですか?TKC氏はそのようにツイートしてましたが。

A:先生でもイギリス通でもないですが・・・。イギリスは何度も行ったことがあります、TKC氏とはバーミンガムで一度会ったことがあるかな?right of way とは彼らしい見解ですね。この権利を拡大解釈してダージャン用のダートトレイル異常なほどたくさん造られてますからね。確かにイギリスMTB文化の一端を担っていると思います。ただそれだけでなくその他にも多くの要因があります。ここで書くと長くなっちゃって皆さん興味ないと思うので次にお会いした時にでもお話し出来ればと♪

イギリス人にトレイル行こうぜ!って言われて里山トレイルみたいなのをイメージしてたらダージャントレイルの飛ばないと死ぬキャニオンばっかりだったので、イギリスはお勧めしません。イングランドよりスコットランドの方がまだ良いかな?ということでウィスラーの方が良いと思う。もっと近いならオーストラリアのケアンズ良いですよ

ふむふむ。ケアンズ…ウィスラー…それも気になるが、そうかイギリスはダージャントレイルが多いのか
More Dirtというトレイル情報のポータルサイトで見ると、ダージャントレイルで100以上、パンプトラックも100以上登録されている。なるほど多い…
www.moredirt.com

次に日英の自転車市場規模と保有台数も比較してみたい。

 

市場規模 自転車保有台数
日本 2100億円 6870万台
英国 3000億円 2300万台

 

【リンク】
UK cycling market set to be worth £2.2 billion by end of 2020 – Business – BikeBiz
コロナ禍でも絶好調の自転車販売、市場規模は2100億円超で過去最高を更新|@DIME アットダイム
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/bicycle-up/06pdf/02.pdf

イギリスの方が市場規模は大きく、そして保有台数は少ない。比較的高単価のスポーツバイクが多く走っていると思って良さそうだ。ママチャリのような日常の脚としてのポジションではなく、サイクリングユース。

 

ちなみに、冒頭触れられている「例の白書」というのは「マウンテンバイカーズ白書」のこと。確かに海外のトレイル事例紹介のページに、通行権に関して記載があった。イギリスのMTB人口は(ちょっとだけ乗るだけの人も含めて)3600万人もいると記載があって驚愕。英国の自転車保有台数は2,300万台のはずなんだが…360万人の間違いかな?ちょっとここは要調査。

 

以上のことから分かること

①イギリスにはFootpathと呼ばれる、公共に開かれた私道(のようなもの)がある
Footpathの背景にはright of way(通行権)という法的権利がある
right of wayを逆手に取り、FootpathをMTBトレイルに改造するケースが非常に多い
②イギリスの自転車保有台数は日本より少ないが、単価が高く、市場規模も大きい
よって、イギリスは日本よりも高単価のスポーツバイクマーケットが大きいと推定される
③マーケットが巨大なためその裾野も広く、小規模バイクメーカーが参入/維持できるニッチが一定存在する

ということか。

 

なるほど。イギリスがMTB大国である理由のひとつが明らかになった気がする。もちろんインタビューした先生のコメントにある通り、英国MTB文化を支える要因はこれ一つに限らず、複数の要因が相互に働きながら成立させているのだろうとは思うが。

 

要はフィールドが多ければそこにカルチャーが生まれる、という割と当たり前のことなのかも。

イギリス、行ったことはないが調べていて楽しかった。
ぜひいちどこのFootpathを走ってみたい。ダージャンの練習しておかないとなw

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