チューブレスタイヤはだいぶん普及してきた。マウンテンバイクやシクロクロスなどオフロード系はほぼ100%近くがチューブレスで運用しているだろう。低圧で運用できる点やパンク時にゆっくり空気が抜けることなど、安全性と乗り心地を両立しており、ほぼ必須と言える。ロードバイクもだいぶん普及してきた印象だ。だが、いまだにトラブルの話を多く聞く。「ビードが上がらない」、「取付後のエア漏れ」なんかだ。それに加えて「パンク修理」を加え、チューブレスタイヤ運用でコツが必要なのはおおきく3つ。ネットではバラバラに情報が上がっていて、対策の一覧は無いなと思い、エントリーを上げることにした。基本、自身やチームメイトが試してそれなりに実績のあるものだ。
取付時のビード上げ
ビードが上がらないのはなぜか、簡単に言えば①タイヤに入る空気の量が少ない②タイヤから抜ける空気の量が多い、のいずれかだ。現在ある対策としてこの辺だろうか。番号が大きくなるほど大がかりに(投資が大きく)なる。
1.せっけん水(ビードワックス)
ビードにせっけん水もしくはビードワックスを付けることで滑りを良くし、ビードを上がりやすくする。自分は薄めた食器用洗剤を100均で買ったアトマイザーで吹きかけている。
コスト:ほぼゼロ
2.バルブコアを外す
バルブコアがあるせいで流量が少なくなる。だから抜いちゃえ、という作戦。ビードが上がったあと、ポンプを外すといったんエアが全部抜けてしまうが、ビードがいちど上がっていればそこから再度ビードが落ちることは無い。改めてコアを挿入して空気を入れれば良い。手間だが割と有効。
バルブコア外しを兼ねたバルブキャップを付けておくとすごく捗る。自分は全部のホイールにこれ付けた。
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コスト:ゼロ
3.タンクを使う
通常の空気入れはポンピングのたびに空気が入るので、エアが間欠的になる。タンクを使うことでエアの流れを連続的にし、ビードを上げやすくする、かなりメジャーな方法。自分はサーファスのAF-1(現在は廃盤)というのを使っているが、いろんなメーカーから同様の構造のタンクが販売されている。ちなみにCo2ボンベを使っても同じことだが、失敗するとかなり精神的なダメージが多い。タンクを使うこの方法は非常に理に適っているので、出来ればここ(上記1~3)までは常用したい。
コスト:5,000~10,000円
4.リムテープの張替え
リムテープがスポークホールのところで凹み、その隙間からエアが漏れてビードが上がらないケースが多い。特にタイヤを長期使用した際は高確率でテープが凹んでいる。面倒なのでテープ類はアリエクスプレスで安いのを購入してバンバン張替えることにしている。ZTTOのは3Mジェネリック系のテープで、貼りやすく剥がしやすく、強度もあり、使っててストレスが少ない。
なお、最近はスポークホールレスのリムが増えていて、そちらにするとこのテープの張替えが要らず面倒がない。
コスト:1回数百円
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5.ポンプの先端を外してバルブと直結
2のバルブコアを外すやり方と似ている。ポンプの口金を外してバルブと直結させるやり方。これも流量が上がるのでビードが上がりやすくなる。
コスト:ゼロ
6.タイヤをひっくり返して一晩おく
リムとタイヤの隙間が大きいとなかなかビードが上がらないわけで、タイヤをひっくり返すことでビードが広い状態で固定され、リムとビードの隙間が少なくなるという作戦。自分はやったことないが有効らしい。プロメカニックもやってると紹介していたので効果はありそう。
コスト:ゼロ
シーラント補充のためにタイヤ外して洗浄(以前にどこのメーカーの物を使っていたかわからない為)し、取り付け時にビードが上がりやすくなるようにタイヤを裏返して乾かしてるの図。
使用済みの緩くなったタイヤはこうすると締まります。以上、95%くらいの方が知らなくてもよい情報でした。 pic.twitter.com/q30TEQ5F1y— なるしまフレンドメカニック (@nalsima_mecha) 2022年1月20日
7.チューブで一度ビードを上げ、片側のビードを落としてチューブを抜く
これも割と有名なやり方。チューブを使っていちどビードを完全に上げ、その後片方のビードだけ落としてチューブを抜き、改めてチューブレスバルブを取り付けてビードを上げる作戦。片方のビードは上がっているので空気の抜けは通常の半分となり、ビードが上がりやすくなる。自分はやったことないが有効らしい。
コスト:ゼロ
8.コンプレッサー
最終兵器。ほぼ間違いなく上がるが業務用機材で高額で音も大きい。自分の家に置くのはかなりマニア。だいたいどこのショップも持っているので、付き合いのあるところがあれば持ち込んでビードを上げて貰うのも手だろう。
コスト:数万円~
自分の場合は1~3をセットでやり、これでダメならそのタイヤは手放すポリシーにしている。
取付後のエア漏れ
ビードが上がってほっと一息した翌日、空気がどこかから漏れてて空気圧がほぼゼロになってしまうケース、チューブレスあるある。原因は、チューブレステープの裂け、バルブの浮き上がり(特にオフセットリム)起因のエア漏れが多い(まれにパンクしていたりサイドが弱くて全体から漏れているケースなんかがあるが…)。対策としてはリムとバルブの接点をシーリングして気密性を高めるのが有効だ。
1.追いシーラント
隙間があるならシーラントを足して埋めてしまえ、という力技。シンプルだが割と効果的。ただし追いシーラントをしても漏れが止まらなかったときの精神的ダメージが大きいし、重量的にもコスト的にもあまりうれしくない。
コスト:1回百円くらい?
2.液体ガスケット
簡単に言うと風呂場のコーキング材のすごいやつ。これをバルブホールに塗ってバルブを挿しこんで隙間をふさぐ。今のところ10本近く処理してバルブ付近からのエア漏れはなく、一定の効果があるとみている。ヘルメシールというのを使ってるが、なんでも良いと思う。
コスト:数百円(1回あたりだと十円くらい?)
パンク修理
チューブレスにしても当然パンクはするので、とうぜん修理も必要になる。自分自身はいまだチューブレスではパンクしたことがないので、いちおう紹介程度に*1。
1.追いシーラント
小さな穴ならこれでだいたい埋まる。ただしいつもシーラントを持ち歩く必要がある。
2.プラグを用いる
やったことはないがチームメイトがやってるところを横で見た。ちゃんと修理できていれば、そのままタイヤがダメになるまで使えると聞くが、周りではそこまで使った人がおらず正直良く分からない。すぐ治るみたいだし、パンクしたときに復帰が早くなりそうなのでそのうち購入するかもしれない。
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3.パッチを当てる。
出先でやることは不可能で、後日家でゆっくり処置するパターン。ビードが裂けているような大きめの傷の場合はタイヤ性能の低下が懸念されるので、新しいタイヤが届くまでの繋ぎ、くらいにしておくのが良さそう。
4.DIYでの補修
チームメイトが発明(?)したやり方。服屋さんで買い物すると商品を入れて貰える不織布(伝われ)を表からタイヤに当て、アクアシールという接着剤で固定して傷をふさいでしまうやり方。チームメイトはそれで補修したタイヤでSDA王滝に出たらしい。「かなり大きな傷でもいけるが、低圧運用のMTBに限った方が良さそう」とはチームメイトの弁。このやり方もパッチと同じで家でやる処置。
あとは本エントリーとは直接関係ないが、チューブレスバルブがかなり進化している。以前からチューブレス運用している方はバルブを見直すと良さそう。パナレーサーの新製品が話題になっていたが、「バルブキャップがコア回しを兼用」「シーラントが癒着しにくいフルアルミ製」「リム側が三角錐形状で隙間が埋まりやすい」「タイヤインサートを前提としてエア吐出箇所が複数ある」「バルブ固定ネジが工具で回せるようになっている」など、従来のものからネガを取り除いていて使っていてストレスが無い。
ほぼ同じ構造のものがアリエクスプレスで数百円で売っており、自分のバイクは全部これを入れ替えた。明らかにシーラントが詰まりにくい。これは買って損なし。
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まとめ
タイヤ交換を自分でやる人は多いと思うが、チューブレス時代になって手こずっている人をよく見かけるようになった。メンテナンスの時間は基本無駄と考えているので、作業をとにかく定形化してサクサクやってしまいたい。
読んだ方の参考になれば幸いだ。
閑話
過去ビード上げを諦めたタイヤが1つだけあって、パナレーサーのグラベルキングSK35c。これをDTスイスの内幅22mmのフックレスリムに嵌めようとしたがどうやっても無理だった。チームメイトに譲ったのだが、手こずりながらもなんとか上げたらしい。大まかな傾向だがワイドリムは上がりにくく最近のホイールはどんどんワイド化しているので以前より難易度上がってる気がする。相性の悪い組み合わせだとどうやっても無理な場合があるので、ダメな場合スパッと諦めるしかない。
*1:家帰ってからタイヤ表面にシーラント漏れがあることに気づくような軽微なパンクはちょいちょいあるが、それはパンクとは認識していない
コメント
2, 3, 5, 6, 7にさらに上がってない方のビードを下にして込み箱の上に水平に置く、のコンビネーションであげました。
思うにはめにくくて、硬いタイヤ(最近のシュワルベやちょい前のコンチ)はあげやすく、軽いしなやかなタイヤはあげにくいですね。その後無印グラベルキングもやっぱりはめにくかった。
修理の4は、その前にエア保持のためにパンクパッチを裏から貼ってます。不織布はケーシングの代わり。