チームメイトが乗せ換えでフレームが余るということで、ただで引き取ってきて、ちょいちょいと手持ちパーツなんかを使ってバイクを組んでみた。
BASSO Terra(クロモリ)
2022年も継続販売されている現行グラベルバイクだ。
フレーム・ジオメトリー
自分がいただいたのはMサイズ相当の510サイズ。ジオメトリーはこんな感じ。
肝心のBBドロップとホイールベースが記載されてねぇ。この2つはグラベル/シクロクロス系バイクの性格を決めるコアデータだと思うんだが。実測したところWBは998mmくらいだった。ということは…計算するとBBドロップは75mmくらいか。ちなみにジョブインターナショナルに問い合わせたけど回答無し(#^ω^)
BBドロップ70mm、ホイールベース1025mmくらいがグラベルバイクど真ん中で、それよりBBが深くてWBが短いのはオールロードカテゴリだと考えている。正直この基準に根拠はなくて、いろんなバイクのジオメトリーを眺めたり乗ったりして、こんなもんかなとあたりをつけた数字ではあるがが、割と大きく外れてはいないと思う。
図示するとこんな感じ
Terraはど真ん中と比べて、BBが5mm深く、WBは22mm短い。
ジオメトリーからはかなりロードバイク寄りの性格が伺える。
調べるとこのフレーム、2017年デビューのGIOS Mitoのフレームデザインを流用しているようだ。
フォーク以外は全く同じに見える。グラベルバイクのジオメトリーは年々進化していっているし、17年の基本設計は旧い。ちなみにメーカー違いで同一フレームが生まれるのは何故かというと、GIOSもBASSOも国内企画商品で、どちらも代理店はジョブインターナショナルだから。本国企画製品ではなくライセンス商品。
基本設計の旧さはフレームの構造にも見てとれる
• コラムはアルミのストレート形状(ブレードはカーボン)。主流になっているテーパーコラムのカーボンフォークを採用していない。
• ボトルの位置が高め。フレームバッグを取り付ける前提のバイクならもっと低めに設定するか、選択肢が広がるようにダボ穴を3つにするはず。
• フォーク横やトップチューブ上面、ダウンチューブ下面のダボ穴が無い。これもバイクパッキングを意識していないからだろう。
• 設計の新旧とはあまり関係がないが、リアエンドは一体式。落車の多いグラベルバイクはクロモリフレームでもリプレイサブルエンドにすることが多いが、Terraは一体型。これだとエンド部に負荷が掛ったときはエンドごと曲がってしまう。
パーツとコスト
完成車はGRX組だが、今回はフレーム単体でいただいたので、手持ちやらなんやらで適当に。
箇所 | ブランド | 価格 | その他 |
---|---|---|---|
フレーム | Basso | ¥0 | いただきもの |
フォーク | Basso | ¥0 | いただきもの |
ステム | 無名90mm | ¥0 | 手持ち |
ハンドルバー | Dixnaバンディー2 | ¥6321 | アマゾンで購入 |
シートポスト | Canyon カーボン | ¥0 | 手持ち |
サドル | XDS | ¥2000 | リンク |
バーテープ | セライタリア | ¥0 | 手持ち |
ホイール | DT R470 | ¥13000 | チームメイトから |
タイヤ | IRC BOKEN Plus | ¥10600 | アマゾンで購入 |
ブレーキシステム | グロータック | ¥25905 | 30%オフで買えたラッキー |
コンポーネント | 57系105 | ¥0 | 手持ち |
カセット | HG50 11-36 | ¥2500 | メルカリ |
合計 | 約5万円 |
ルックス
自分でパーツを選んだし、非常に良いです。
ドライブトレイン
シフターとRDは57系105を使用。本来これだと最大ギアが27t(だっけ?)なのだが、RDにエクステンダーを取り付けて11-36のカセットを組み合わせた。フロントは旧デュラに中華チェンリングの40T。これで足柄峠も登れたので良しとしている。38tにすれば困ることはなさそう。
フォークにダボ穴追加
荒業だが、フォーク横にダボ穴を設け、これで積載量を稼げるようにした。
タイヤクリアランス
IRC BOKEN PLUS 700*38Cでこれくらい。42Cでもギリギリ履けそう。650B*45Cを試してみたが無理だった。
ブレーキ
別でインプレッションを上げたけど、Growtac EQUALディスクブレーキ
インプレッション
フレームから組んだので完成車のレビューではないのだが、ショップのブログくらいしか書いてるのを見つけられなかったので参考まで。グラベルライドや街乗りをちょいちょいと。200㎞くらい乗ったかな?
ジオメトリーからも想像していたが、グラベルバイクではないかな。。。
砂利道も(走ろうと思えば走れる)ロードバイク、といった感じだ。
剛性
剛性感はあまりなくレスポンスはあいまい。乗り味はかなりまったりめ。フォークも剛性が弱く、かなり撓る。ハードなグラベル下りを攻めるとグニグニ動く。
快適性
クロモリフレームだから乗り心地良いかと思ったらそうでもないかも。
ハンドリング
メディアの記事にもあったが、アンダーステア傾向がある。ホイールベースも短いしもっとクイックなハンドリングを想像していたのだが、どうしてかはちょっと分からない。トレール値の設定が影響している?
平坦
速度が乗れば悪くないが、カーボンバイクと一緒に走るとワンテンポ置いていかれる感覚がある。ここちょっと悲しい。
登り
重い。全然登らない。重量は計ってないけど、完成車よりちょっと軽い程度かな。おそらく10kgちょい。
下り
ヘッドチューブが115mmと短いので、コラムスペーサーを35mm積み、さらにステムを上向きに付けたのだがまだハンドルが低く感じる。下りだと上体が突っ込む。フォークがしなることもあり、怖い。
その他
乗り味とは関係ないが、左の踵がチェーンステイとたまに接触するのが気になった。Qファクターが広い標準のGRXなら大丈夫だろうが、狭いロードクランクにするとだめ。これは俺の組み方が悪いのだが、エンドの造りをもう少し考えて欲しかった。
接触するところはもう一ヶ所あって、ハンドルを切って曲がるようなところだとシューズとタイヤが当たる。
・ロードバイク並にホイールベースが短いこと
・グラベル用のタイヤはロードバイクより外径が大きいこと
・グラベルでは比較的低速でハンドルを切って曲がることが多いこと
なんかが関係してる。以前超ショートホイールベースのリドレーのシクロクロスバイク(WB999mm)に乗っていたので「まーこういうもんだよな」と思えるのだが、はじめて乗った人はこれ怖いんじゃないかな。
ちなみにもうひとつ大きなサイズにしても、ジオメトリー表を見る限りでは大きく印象変わらなさそう。
まとめ
繰り返すけどこれはグラベルバイクではない。太いタイヤを履けるロードバイク。
シクロクロスバイクのキャニオンインフライトを持っているが、ハンドリング、剛性、乗り心地、登り、下り…グラベルも舗装も…すべてにおいてインフライトの方がレベルが高い。
もし購入を検討している方がこのエントリーを読んでいるなら再考しても良いと思う。エントリーグレードのグラベルバイクなら、キャニオンのグリズルとか、ジェイミスのレネゲードとか、FUJIのJariとか、他にもグラベル用途に向いたバイクがある。
自分に譲ってくれたチームメイトも、重いと言ってパーツを移植してカーボングラベルフレームに乗り換えてしまったからね…
もちろん、通勤/通学、ポタリングやサイクルチェアリングみたいな緩めの用途とか、とにかく見た目が気に入った!とかなら全然あり。
PROS
細身でホリゾンタルに近い端正なフレームワーク
GRX組で捨てるパーツが無い(完成車の場合)
CONS
ロード寄りのジオメトリーでグラベルでは使いにくい
剛性感に乏しく、走りの軽快さが無い
タイヤやチェーンステイとの接触が気になる
アンダーステア傾向でもたつく
バイクパッキング等への拡張性が低い
当初の目論見はバイクパッキングを視野に入れたグラベルツーリングバイクとしての使用だったが、舗装メインのエブリデイバイクがメインになりそうだ。
しかし、パーツは1台分あるしそのうちカーボングラベルフレームを生やすような気がしてきた…
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