最近グラベル漬けの自分にぴったりな本を読んだ
オールロードバイク・レボリューション
ヤン・ハイネ著
北澤肯 他訳
出版は山と渓谷社
オールロードバイクとは何かというと…
オールロードバイクとは、舗装路や未舗装路、砂利道などのあらゆる路面状況に対応できるように設計された自転車のことを指します。オールロードバイクは、ロードバイクやマウンテンバイク、シクロクロスバイクなどの特徴を取り入れたハイブリッド的な自転車です。
オールロードバイクは、幅広のタイヤを装備しており、ロードバイクよりもグリップ性が高く、マウンテンバイクよりも軽量で速度が出やすいという特徴があります。また、サドルが高く、ハンドルが幅広いため、長距離走行にも適しています。
オールロードバイクは、ツーリングやコミューティング、グラベルライド、サイクルクロスなど、さまざまな用途に使われています。特に、最近ではグラベルライドという新しいサイクリングスタイルが注目を集めており、オールロードバイクの需要が高まっています。
これChatGPTに書いてもらったんだけど、ちょっと凄すぎん?
グラベルを走ることを想定したオールロードバイクの本というから、てっきり「Just Ride」とか「Born to run」みたいなエモーショナルな文章メインであんまり中身ない(言い方)を想像してしまったんだけど…これがなかなかどうして「スポーツバイクの科学」といった風情で読み応えがあった
※「Just Ride」とか「Born to run」はどっちかというと人々に対するアジテーション的な内容だけど、読み物としては面白いです(フォロー)
オールロード・レボリューションの構成
本書は大きく2つのパートに分かれている
前半は「自転車の性能を科学する」で、後半は「オールロードバイクの解剖学」だ
自転車の性能を科学する
魔法の方程式
空気抵抗
転がり抵抗
重量
ベアリングと駆動系の抵抗
フレームのしなり
生体力学
ハンドリング
ジオメトリー
快適さ
自転車を体に合わせる
信頼性
結論オールロードバイクの解剖学
タイヤ
ホイール
フレーム
フォーク
ブレーキ
駆動系
現代の規格vs.古典規格
ライダーと自転車の接点
ラック類とバッグ
フェンダー
ライト
シミー
自転車に掛ける費用
グラベルライディングとシクロクロス
タンデムバイク
カスタムビルダーを選ぶ
パフォーマンスバイクに乗ろう
目次を見ても、エモーショナルな内容は抑制され、スポーツバイクを要素に分解し、それぞれを科学的にアプローチしていることが伺えると思う
(オールロードではない通常の)ロードバイクはレース機材なので、重要なのはより速く走ることだ。FTP(PWR)を上げるためのトレーニング、より軽量なパーツの紹介、エアロダイナミクスのテスト、低抵抗パーツなどのトピックがメインとなる
UCI規定6.8kgギリギリの軽量な車体、エアロダイナミクスを追求した形状、マージナルゲインを追求した低抵抗なベアリングやルブ←こういったものがロードバイクの正義
一方で、現実のサイクリングではレースとは異なるシチュエーションに直面する。
・荒れた舗装路や未舗装路を走ること
・荷物を積載して走ること
・レースより速度域が低いこと
・ライダーが(プロより)低出力なこと…Etc.
こういった場面では、もっと重要なトピックがあると「オールロード・レボリューション」は述べる
それは例えば悪路走行時に体が振動されることで失われるエネルギーのことなどだ
体は水が詰まった袋のようなもので、体に振動が加わるとそのエネルギーは全て熱になって散逸してしまう。この損失は機械抵抗や転がり抵抗よりもずっと大きい
解決策はしなやかで太いタイヤを適切な空気圧で使うことだ。そうすれば体の振動とそのエネルギー損失は抑えられる。タイヤは弾性なので一部は熱に変換されるが残りは反動として地面に戻る
つまり、悪路では軽量化やエアロダイナミクスの追求より、太いタイヤでの振動対策が有効となる
他にも、荷物を積載してもハンドリングが変わらないジオメトリーの考え方、レースバイクの剛性の考え方と、オールロードバイクの剛性の考え方の違いなど、リアルなライドを前提にしたアプローチが記載されている
太くてしなやかなタイヤ、荷物を載せても破綻しないジオメトリー、過度でも過小でもない適切な剛性←こういうことがオールロードバイクの正義
たしかに僕らサイクリストのライドはレースのみではない。「オールロード・レボリューション」はそんなリアルなライドにフォーカスした内容になっている
こういう本が出版される海外のサイクリストの裾野の広さすごい…
ちょっと悪い言い方だが「ロード脳」のマインドセットでグラベルはじめてしまった人には新しい発見があるのではと思った。グラベルバイク買ってとりあえずやること⇒「軽量化!」みたいなケースって往々にしてあるよねw
当然、グラベル/オールロードでスポーツバイクデビューした方も読んでみて全く損はない。ロードバイクの記事にあまり目を通していないとエアロダイナミクスに関する文章を見る機会が少ないので、かなり学びが多いと思う
良書です
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