手首が折れていて自転車に乗れないので、無聊を慰めるべくハンドメイドバイシクル展へ行ってきた
主催:日本自転車普及協会 自転車文化センター
会場:九段下科学技術館
入場:無料
後援:自転車活用推進議員連盟/自転車活用推進本部
骨折でもしてないと絶対行かなかったであろう。出展は40社ほど。ほとんどはスチールのオーダーバイクを作るメーカーで、小物類の出展も一部あり
この手のバイクは素人なので適当にウロウロ
来場者
あんまハンドメイドに興味あるわけでもなく、なんなら展示より来場者が気になるw
良くも悪くも、来場者も出展者もオタクっぽい印象
見た感じ客層はおおきく二つ。青春をサイクリングブームの中で過ごしたおじいさん層と、ピストブームの影響を受けたと思しき若いライダーだ。比率は8:2くらいだろうか。実際、出展もおじいさん向けにランドナー/リムブレーキのロードレーサーを展示するレトロブランドと、最新規格を取り入れたモダンブランドにはっきり分かれているように感じた。駐輪場に置いてあるバイクも、ヴィンテージバイク派とピスト/グラベル派がはっきり分かれていて面白かった
一方、その中間のミドル層(30~40代)は思ったほどは多くない印象で、多くは自分含め中台製造のカーボンバイク乗ってるんだからそりゃいるわけないんである
気になったブランド
ハンドメイドバイクはスチールがメインで、いきおい非コンペティション寄りのバイクが多い印象。ランドナーとか、1インチヘッドのリムブレーキロードとか、そういうの。個人的にはあまり興味持てず
そんな中でもモダンで良いなと思ったのはこの辺
EQILIBRIUMCYCLEWORKS(エクイリブリウムサイクルワークス)東京
チタンのロードバイクとオールロードバイクを展示していた。太目のチタンパイプでがっしりした前三角と、ベンドさせて振動吸収性を上げた後三角のコントラストがかっこいい。展示の仕方含めバキバキに決まってて素敵
Dobbat’s Lhino House 愛知
スチールのディスクロード、リムロード、MTBとバリエーションそろえて展示。オリジナルのスリムなステムを使ったりしてなるべくスチールの雰囲気を壊さないようにしている心遣いが感じられる
Shin 服部製作所 愛知
使い込んだグラベルバイクをポンと置いてあり、日常にバイクがある感じが出てて良かった。オーナーのバイクだろうか?ただブースに誰もいなかったので話は聞けず。先日エントリーを上げたCLAMPのバイクを作ってるところなので興味があったのだが残念
Shiztech 群馬
たぶんシズテックと読むんだと思う。チタン、アルミ、カーボンなんでもやれるらしい。しかもアマチュアビルダー!ウェブサイトも手作りでガレージで一人でやってますな雰囲気が。ビルダーに話を聞いたらトレンドを的確に把握しているし、新しいテクノロジーに対して貪欲な印象を受けた
展示していたのは、カーボンパイプをチタンのラグでつないだロードバイクと、オールチタンのグラベルバイク。レトロな雰囲気のバイクの出展が多い中、ここはかなり異色。今回ここを知れただけでも収穫。機会(というか金)があればシクロクロスバイクをオーダーしてみたい
ハンドメイドバイクは伝統工芸品
上記4社は割とモダンだったけど、あとはまぁ、割と、あれ、伝統工芸品ですね。南部鉄器とか、西陣織とか、こけしとか、ろくろ手びねりとかの世界。けっして馬鹿にするつもりはないし、それはそれできわめて深い世界だと思っている。ただ、(自分が普段乗ってるバイクのような)工業製品と比べるとあまりに家内制手工業過ぎる。過日は世界に通用するテクノロジーを誇ったのだろうが、そのピークはとうにすぎて、今はゆっくりと衰退の道を進んでいるようだ。熱心に話し込んでる客層も60代以降が多い印象。作ったバイクは床の間に飾るのかな、、、と思うとハンドメイドバイシクルはプロダクトではなくアートの仲間なのかも
要はこれ「日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている」
まとめ
ハンドメイドバイシクル展は良くも悪くも伝統工芸品展でした。ノスタルジーに浸るおじいさんたちは楽しそうだったけど、日本すごいポルノ感もわずかに感じてしまい自分にはいごこちが良くなかった
今後、日本のハンドメイドバイクブランドの進む方向性としてはどういうものがあるのか、勝手ながら心配になる。未来は明るいのか?
モダンバイクを志向するなら生産性を上げるべく設備をアップデートしないといけないし、そもそも絶対的な生産性では中台に勝てない。さらにはNAHBSを頂点にしたハンドメイドバイクの世界を向こうにブランドを確立させる必要がある。設備投資するからには海外にも目を向けないと元が取れない
また、在りし日の栄光を掲げてレトロ方向で行くにしても、ユーザーは高齢化して先細り。職人に依存しているのでビルダーが高齢化して事業継承できず廃業の可能性も…。びっくりしたのは700×45Cをインストールできるフレームの設計/製造ノウハウが”無い”メーカーがあったこと。非コンペティションなら太タイヤを履けるオールロード/グラベルバイクへのチャレンジは不可欠だと思うのだが…
立ち止まるのか、進むのか。どちらにせよ大変そうだ
チャレンジをしているブランドもあって行った甲斐はあったが、次回はなさそう
コメント