本エントリーはテスト的にポッドキャストとして配信しています。よろしければ下記よりご視聴ください
グラベルバイクの進化はタイヤとハンドルバーに現れる
グラベルシーンにおいて最も変化が激しいコンポーネントはタイヤとハンドルバーでしょう。初期のグラベルバイクは先祖であるシクロクロスバイクの影響が強く出ていました。しかし、シクロクロスとグラベルは似て異なるもので、近年はよりハードなライドフィールを追求するためのデザインが導入されています
わかりやすいのはタイヤが太くなっていることです。初期のグラベルバイクでは2×シフトとの兼ね合いなどからタイヤサイズの上限が40C前後でした。最近は50Cを中心に盛り上がっている印象ですね。1×シフトの浸透やフレームデザインの工夫により、50Cタイヤに対応するフレームも増えています。オフロード走行ではタイヤの太さが正義ですので、タイヤの転がり性能向上とともにさらに太くなる方向に進みます
もう一つは、よりワイドなハンドルバーへのシフトです。初期のグラベルバイクには専用のハンドルバーが存在せず、幅400~420mmのシクロクロス用ハンドルバーが共用されていました。しかし近年では、より幅が広く、ドロップ量を抑えたフレアタイプのハンドルバーが増えています。悪路での安定性を高めるために幅を広く、ドロップ量を少なく、フレアを強めに設計する。これがドロップハンドルの進化の方向性と言えるでしょう
ファットなタイヤとワイドなハンドルバーによって、グラベルバイクはロードバイクと明確に一線を画す存在となります。グラベルバイクはMTBに近づいていくでしょう。先日発表されたRidleyのIgnite GTXなどが分かりやすい例ですが、果たしてこのバイクはMTBなのでしょうか?グラベルバイクなのでしょうか?
当然フレームのジオメトリーも日々刻刻と変わっているわけですが、フレームを変えずともタイヤとハンドルバーに投資することでその変化をローコストに実感できます。UCIルールにがんじがらめにされたロードバイクと比べると、グラベルバイクはまだ遊びが大きくて機材進化をフォローするのも面白く、あれこれ試してみたくなります
そんな中で新しいハンドルバーを導入しました
購入したもの
リッチーのハンドルバー”BEACON“です。これはショートドロップ、ショートリーチ、強いフレアを持っていてリッチーのハンドルバーの中ではかなり”過激”なタイプ
本国サイト

国内サイト(フカヤ取扱い)
ブランド | Ritchey |
モデル | BEACON COMP |
サイズ | 460㎜(芯-芯) |
重量 | 311g |
定価 | 10,010円(税込) |
実売は8,000円代です。だいぶん頑張ってる
先日もエントリーを上げましたが、リッチーはグラベルハンドルバーを幅広くラインナップしています

バンディーとの比較
今まで使っていたディズナ バンディー2と比較するとこんな感じです
バンディー2(LL) | ビーコン(460㎜) | |
素材 | 6061ダブルバテッド | 6061ダブルバテッド |
サイズ(C-C) | 445㎜ | 460㎜ |
リーチ | 80㎜ | 65㎜ |
ドロップ | 100㎜ | 80㎜ |
フレア | 20° | 36° |
バックスイープ | 0° | 4.5° |
重量 | 280g(Mの場合) | 300g(420㎜) 311g(460㎜実測) |
バンディーよりも幅広(+15㎜)でショートリーチ(-15㎜)、ショートドロップ(-20㎜)。フレアも+15°です。実際手に持つと、バンディー2よりかなり大きく感じます
上に乗せてるのがビーコン。ブラケット固定部がかなり広い
バラで重ねてみた
横から
重量は311gでした
実測311g
取付
こんな感じでセットアップしました。ワイドになって手が遠く感じたので、ステムはバンディー2比で10㎜短くしています
横から
前から
上から
インプレッション
グラベルライドで使ってみました
フィット感:私は基本ブラケットポジションで操作していますが、ブラケットの真上ではなく斜め上から持つような姿勢です。はじめは手首が返るような違和感がありました。フレアの弱いバーを握ってる人からするとはじめ戸惑うかもしれない
ブラケット部を握った感じ。斜め上からのグリップになる
コントロール性:良い。ガレ場の下りに余裕が出ます。ブラケット部の幅が広く、バイクを押し引きするようなシーンでしっかりバイクを操れますね。ここが幅広ハンドルバーの真骨頂でしょう。ワイズロードで他のサイズを触ることができたのですが、XLサイズの500㎜は大きすぎると感じました。あれはコントロール性よりも大型バッグ類の取付を考慮しているのかもしれない。日本の悪路なら460㎜で十分だと思う
トップ部の潰し加工はすごく良い感じ。ヒルクラのときの良い手休めになる。丸いバーだと手で握る感覚だが、これは手のひらを乗せる感じで痛みも出ない
エアロダイナミクス:エアロはだめです(笑) ブラケット部で460㎜と幅広なバーなので前面投影面積が大きくなります。フレアがきついので下ハン持っても空気抵抗がでかい。ここをキャンセルするためにRidefarrのクリップオンを組みあわせています
Ridefarrつけて弱点をカバー
その他:ステムを短くした関係もありそうですが、手に振動がしっかり伝わります。もう少し乗り心地が良いかと思っていたのですが、これは意外でした。 あとはハンドルバーがでかく、室内での取り回しがわるいです
まとめ
グラベル用のハンドルバーはまだまだ未完成だと思うのですが、現時点では有用なひとつ。実売8,000円前後というリーズナブルなプライスも企業努力のあらわれ
PROS
- ワイドスタンスで高いコントロール性
- 手が置きやすいバートップの加工
- 手ごろな価格(COMPグレード)
COMS
- 振動吸収性があまり良くない
- エアロダイナミクスに課題
- 部屋の中での取り回しが辛い
今後のグラベルハンドルバーの向かう先
グラベル用ハンドルバーは今後、ドロップが極小になる方向に進むんじゃないかなと予想しています。たとえばこういうのですね
Nitto マスタッシュバー

Veno リリーフバー

SOMA Fabrication Gullwingbar
どれもドロップ量がほぼゼロの、ママチャリ用のような形状です。ここまで極端な形状だと、”ブラケットポジション”、”ドロップ(下ハン)ポジション”とはもはや呼べず、”巡行ポジション”、”ダウンヒル(コントロール)ポジション”などと呼ぶべきかもしれません
ハンドルバー形状はブレーキ(STI)レバーとも密接に関わるところなので、この辺はシマノ・スラム両大手の動向も気になるところです
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