FM936も購入して1年以上経過。いちおうロングタームインプレッションを。中華カーボンバイクはロード乗りはそこそこいると思うのだが、MTBはあまりいないのでレアかなと思い一応記録として残すことに。
ジオメトリー
いわゆる流行りのダウンカントリーバイク。
ライダーは177㎝、サイズはMをチョイスした。サイズ感はちょうど良かった。Mで475mmとかなり長めのリーチが特徴で、下り系にアレンジするときは35mmのショートステムに3インチライズの750mmダージャンバー。XCアレンジの場合は45mmもしくは60mmのステムに740mmフラットバーという構成。
構造・規格
フルカーボン、トラニオンマウント、ブーストエンド、テーパーヘッド、ケーブル内装、ボトルは1本
今のところ最新規格と言って良い?あと数年は戦えそう。
ただ、ロングをこなすにはボトル1本はやはりきつい。2本だと文句なかった。。。
パーツアッセンブル
コンポーネント シマスラミックス(SLXメイン11速)
Fフォーク SR Suntour AXON Boost 120mm
Rユニット SR Suntour EDGE トラニオン
ホイール 中華カーボン手組約1600g
タイヤ Maxxis IKON&REKON RACE
ドロッパー GIANT Contact SL
サドル SGD コンプベルエア カモフラージュ
ハンドル Renthal Fatbar Lite 40mm
ステム UNO 45mm
ペダル Shimano PD-M8040 or PD-M520
重量
上記のようなアッセンブルで12kg。XCに振って11kgちょい、トレイル/パーク仕様で13kgくらい。
ダウンカントリー系としては標準的な重さでしょうか。
軽くて困ることは無いので、フレームは200g軽いスーパーライト仕様で注文しても良かったかも(ただしアップチャージ$200)
フレームの消耗
1年経過したので、各部を点検。
リンクのベアリングは特に問題無し。ヘッドベアリングもまだ大丈夫。リンク部のボルト類が一部緩んでいたので、ねじロックを着けて再締め付け。
あとRハンガーの固定ボルトが気づかないうちに脱落してた。スルーアクスルで共締めするタイプなのでハンガーまで落ちることはなかったのだが一瞬焦った。新車購入時に買っていた予備ボルトを付けて解決。このボルトはスペアハンガーを買わないと付いてこないので、この手のフレームを購入するときは予備ハンガーは必須。
Rユニットのブッシュとレデューサーは摩耗してガタが。これは新品に交換。調べたら純正パーツは納期1年と聞いてびびりまくり…ほんとに物の生産が遅れてるんだね。とりあえず社外品を使ったが問題は無し。
ルックス
最高の一言。自分でデザインしたので飽きない。世界で一台というのは思った以上に満足度がある。「それどこのバイクですか?」って話のツカミにもなるし「自分のオリジナルなんすよ(ドヤ)」って相手の反応を見るのも楽しい。
ただ、塗装をマットで仕上げたのは正直失敗だった。。。汚れが落ちないw 組む前にコーティング剤を塗っておけば良かったかも。
剛性
自分程度では全く問題無し。一言で言うと普通かな。正直良く分からんw
チームメイトが持ってる同カテゴリーのEPICやLUX、HEI HEIも乗ってみたけど、それと比較して特に柔らかい/硬いとは感じず…
Rブレーキの効きが他と比べると少し落ちる印象を受けるので、もしかするとRバックは少し柔らかいのかも?シートステイを撓ませる構造なのでそれ起因かもしれない。
コーナリング
旋回性は並。里山で良くある低速なタイトコーナーはかなり苦手。逆にある程度スピードが乗った緩いコーナーは気持ち良い。ヘッドアングルが少し寝ているので、XC系よりはるかに高いスピードでコーナー突っ込めるね。いわゆる里山というよりも、バンクが作られてる管理トレイル(フロートレイル)に向いてる。1年あちこち走ったが、フォレストバイクのニンジャトレイルなんかは相性ばっちり。
ヒルクライム
Rストロークは110mm*1。
フラットな激坂を除けば、Rユニットをロックしない方がトラクションが掛かり良く登る印象。HTと違い、腰に衝撃が来ないのでいちいち腰を上げずに登っていけるのでかなりラクチン。おそらくこれはSDA王滝のようなガレた登りが続くシーンでは大活躍するだろう。普段はライザーバーを付けているが、フラットバーにするとさらに良く登る。
ダウンヒル
R110mm、F120mmストローク、WB1294mm、ヘッドアングル67°
ピュアXCと比べるとアドバンテージは絶大。里山ダウンヒルであれば、エンデューロ系と伍して走れる。良いよこれ。ロングホイールベースと寝たヘッドアングルが大きな安心感を生んでいる。
リアサスはいわゆる4バーリンクではなく、シートステイのカーボン材のしなりを利用してプログレッシブ効果を得るデザイン。正直プログレッシブ効果は甘い。奥で踏ん張る感じではなく、どちらかというとリニアに動くイメージ。なのでエアが低いと底付きしやすく、逆に高いと初期が動かない。適正なエアの範囲が狭いね。出るイベントやシーンに応じてちょいちょい変えてやった方がQOLは高まる。自分(体重70kg)だとXC仕様で250psi、パーク仕様で270psi。
フロントはスタンチョン径34mmのAXONだが、これはこれで満足な動きと剛性。SRSuntourはあまりシェアは高くないが、安いしパーツの入手性も良いし、アジア圏に住んでるなら悪くないチョイスだと思う。物は良いのだが肝心の国内流通がボトルネックになってる。キャニオンみたいに本国が直販しちゃえば良いのに。
ドロッパーシートポストはもはやダウンヒルを快適に走るには欠かせない。現状ジャイアントの125mmのものを入れているが、パークライドではサドルが内ももに当たって不快。出来れば150mmがよかったのだが、フレームの形状的に厳しい。シートチューブが途中でベンドしているので、ポストの挿入長が限られているためだ。出来ればここはシートチューブをなるべくまっすぐにしてドロッパーシートの選択肢を増やして欲しかった。XCユースなら125mmでも問題無し。正直、俺の脚が短いのが悪いんだがw
まとめ
PROS,CONSをまとめるとこんな感じ
PROS
自分でデザインできる満足感
里山下りでは抜群の安定性
カバーレンジが広い(XC,マラソン,里山,パークまで)
CONS
ボトルホルダー1本はシーンによっては物足りない
ドロッパー差込長が足りない
Rサスの動きは構造上それなり
コスパについて
これでフレーム8万円(完成車25万ちょい)。。。安い。このグレードのバイクを買おうと思うと国内調達だと完成車40万は見ないといけない。プロショップでフレームから組むともっとだろう。「やっぱりフレームから組むならヘッドはクリキンじゃないと♪サスはFOXのカシマコートが最高ですよ♡」とか言われて財布の紐がつい緩むパターンw
そういうのと比べれば道具としての性能は十分なので良いチョイスだった。
ただ、中華カーボン最高かと言うとそうでもなく。
自分の周りで中華カーボンを買った人はそこそこいるが、半分くらいの人は色々と苦労している。パーツが合わない、精度が悪くて削った、音鳴りが止まらない、ジオメトリーがおかしくて乗り心地が変、などなど。ある程度ギャンブルを許容できる人、メカニックに自信がある人、自分のデザインで作ることにこだわりがある人、常から情報収集している人、メーカーと英語でちゃんと交渉できる人、そういう人向けかな。今回は正直当たりを引いたと思ってる。ビギナーズラック。
次はe-MTBを買うと思うのだが、まぁそれまでよろしく頼む!
【閑話】
このFM936、海外では良く売れている模様。OEMとしての採用メーカーも多く、非常に安心して使えそう。こういうのはたくさん作った方が量産効果が出て品質が安定するしね。
そして、柳の下のどじょう多数
ICAN S24
これはFM936のほぼ同じジオメトリーの別設計版。Carbondaからも同じものが発売になってる。
www.icanbikes.com
ICAN S3
これは前三角はFM936で後ろ三角を4バーリンケージにしたよりAMに近いバージョン。
ちょっと重いがリアの動きは良さそう。
XC Bike Frame S3icancycling.com
*1:取付ユニットによって可変で自分が今付けているユニットのストローク45mmだと110mmになる。標準は40mmユニットを付けて100mmにしたパターン
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