海外通販でのSHIMANO製品停止問題

海外ECストアでの、SHIMANO製品の欧州以外への輸出停止、いわゆるおま国問題が話題だ。Wiggle,Chain Reaction Cycle(CRC)に続いてPro Bike Kit(PBK)も続く模様だ。
f:id:kisuke1234:20181226141144p:plain
f:id:kisuke1234:20181226141157p:plain

実務的にはSHIMANOとECサイトの間で交わしている販売基本契約における、販売エリアの指定に関することだと思われるが、ユーザー目線では値上げ、というニュアンスで語られることが多いと思う。それくらい海外通販経由でのSHIMANOパーツは安かった。自分も練習用バイクを組むにあたって105のコンポーネントを海外から購入した。

cbnブログに書かれていたように、完成車メーカーからのコンポ下取スキームがあったのだとしたら、完成車メーカーとSHIMANOの間に年間契約があると推定される。「前年度○%以上の取引で達成リベート支払い」のような。もしメーカーの年間製造予定台数が前年並みなら、SHIMANO構成比を増やすか、予定台数以上のコンポを仕入れて…なんとかするしかない。

こういうニュースもそんなメディア見ると、メーカーの思惑が透けてくる。
キャノンデール SuperSliceやRED eTap装備車など国内未展開ロードモデルを期間限定発売
https://www.cyclowired.jp/news/node/278275

まぁ、そういったやや特殊なスキーム以前に、越境ECサービス成長の背景には国内外の価格格差問題がある。彼らは国内代理店より安価な販売価格を打ち出すことで大きく売上を伸ばしてきた。スケールメリットを活かすとか、人件費の安い国で物流網を構築するとか、無店舗販売でのローコスト経営とか、たぶん色々組み合わせて安さを実現しているのだろう。当然、なかには完成車メーカーの年間契約を逆手に取った安価な仕入れを行うようなこともあるのだろう。

多くの完成車メーカーでは、これらのECサービス経由での販売が既に停止されている。Cannondale,Ridley,Specialized,Pinarello,Trek,etc.MeridaとGiantはそもそも通販NGだ。

コンポーネントメーカーも、Sramは既に大手ECサイト経由では通販できない。今回のSHIMANOの措置は、むしろ遅すぎたと言える。

輸入製品であれば、内外価格差の発生は致し方ない部分があると思う。当該国でのブランディングやアフターサービスに掛かるコストが販売価格に転嫁されるのは当然だ。とは言え今回はあのSHIMANOだ。話題は当分続くと思う。落とし所、難しいね。

今後の各プレイヤーの予想される対応
成長戦略の練り直しと、DIYユーザーのニーズをどこで拾うか、がメインになる。

○SHIMANO。今回の当事者その1。コンポーネント分野での成長率に関して、今後完成車メーカーと鍔迫り合いを繰り広げることになるだろう。ダブらせて安く流出させたくないSHIMANO、契約に縛られずに安く仕入たいメーカー。成長が見込まれるe-bikeを作っていないメーカーはかなり厳しい交渉を強いられそうだ。

○ECサービス各社。今回の当事者その2。メーカーに依存しないPB化とアクセサリー分野への注力が予想される。抜け穴を付くようなコンポの販売方法がいくつか試されるかもしれない。「コンポ+ハンドル等のセット販売」とか、「マーケットプレイス機能の実装」とかね。マーケットプレイスサービスのアリエクスプレス、存在感がこれから増していくだろう。

○コンポーネントメーカー。CampagとSRAM。死に体のカンパはともかくとしてSRAMはこれをきっかけにシェアを獲りたいはず。うーん、でも策は思いつかない…。

○完成車メーカー。通販でフレーム、コンポ、ホイールなど細かく選べるBTO化が進むかも。しかも未組立だと大幅割引、とか。今のところキャニオンの独壇場だが、ここ以外の振興メーカーが同様にグローバルサービスを展開するかもしれない。通販に消極的なメーカーは成長見込め、かつ国ごとに規制があるe-bikeへ注力していくことになると思う。

○国内代理店。この手のおま国で国内売上がどう変化するのか。抜け穴を全て塞ぐ魔法のパッチなどないので、国内外の価格差を埋めるべく手を動かすことになるのではないだろうか。SHIMANOとは関係ないが、代理店の切り替えが積極的に行われるようになるかもしれない。

○国内ストア、ECサービス。値下げってわけじゃないし、ここはすぐには動かなさそう。

○最後にユーザー。今まで海外通販を積極的に利用してきたユーサーからすると実質の値上げとなり、厳しい話である。とは言え、メーカーの供給能力とユーザーの需要にギャップがあれば、必ずディスカウントが発生するわけで、どこがより良いサービス(価格)を提示してくるか、しばらくは静観するのが良いかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました