【書評】自転車物語1,2

グラベルライドを積極的にやるようになって数年、あちこちを旅することが増え、“自転車で旅すること”についてよく考えるようになった

そういや今は自転車=レースだけど、自転車=ツーリングな時代があったらしい。それがいつで、どのような人たちがどんな旅をしていたのだろうか?そのころのサイクリング文化を調べたいというのがこのところのテーマ。そんな中で手に取った一冊

著者:角田安正
タイトル:自転車物語 スリーキングダム 戦前篇
出版社:‎八重洲出版
発売日:2014/10/2

著者:角田安正
タイトル:自転車物語 II バトルフィールド 戦後篇
出版社:‎八重洲出版
発売日:2017/10/11

 

作者の角田安正氏は、ブリヂストンサイクルで長年勤務しており最後は役員だったようだ。最近はクリティカルサイクリングで執筆されていた

角田 安正

書籍の内容は日本自転車メーカー興亡史といった趣き。1巻は戦前、2巻は戦後~90年代までをカバー。メーカー視点のため、生産台数などが記載されていて感覚的なものとは一線を画しているのはポイント高い

同時に自転車メーカー経営者列伝の風情もある。破天荒だったり、時代の趨勢を見抜く力があったり、メーカーを興した人たちのエピソードが多く掲載されていて、この手の話が書籍にまとまっているものは少ない

トリビアルなもの含めてかなり細かな情報が載っている。アラヤが元々は漆器メーカーだったとか、FUJI、ルイガノ、ラレーなどの微妙なブランドがどのように生まれてたかとか、サイクルベースあさひの生まれた背景にブリヂストンサイクルがいたとか、台湾の雄ジャイアント/メリダと日本メーカーの間にあった幻の提携話とか、マニアックな情報が多い。自転車小ネタ大好きな人には刺さる一冊

日本スゴイポルノ感と、血統主義的視座が薄く感じられて少し引っかかった。ここは残念。作者が日本輪界の絶頂期を知る人なのでこれは仕方無いだろう

ちなみにサイクリング=ツーリングな時代の傍証、これについては核心に迫るものではありませんでした。このテーマは引き続きフォロー予定

 

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