代々木上原で行われた Bicycle Film Festival(BFF) 日本に参加してきた。イベントを知ったきっかけは、グランピーのポッドキャストで日本のオーガナイザーの話を聴いたこと。これで興味そそられて仕事帰りに寄ってきました
参加した回のこと
参加したのは 2025年11月21日・19時の上映回。会場は代々木上原のOPRECT
上映内容は時間帯や都市ごとに異なり、同じ日本開催でも各会場ごとにラインナップが違うらしい
料金は2,500円。自転車イベントとしては手頃だが、会場を押さえたり機材を手配するコストを考えると、採算が取れるようなものではないだろう
通底するテーマ:自転車は“自由のへツール”
上映された作品群は、スポーツ映画や趣味映画というより社会的・政治的なテーマが多い印象だった
- 生活の糧を得るための道具
- 女性やマイノリティが自由をつかむための手段
- 都市のモビリティを変える存在
自転車は、単なる移動手段でもスポーツの道具でもなく、「自由を獲得するための最も身近なテクノロジー」として描かれていたように思う。上映された動画のリンクを貼っておくけど、それらを見ると少し伝わるかもしれない。物によってはかなり強い政治的なメッセージがある
I’M GOIN’ THE OTHER WAY
All Bodies on Bikes | SHIMANO
STYROFOAM Dir. Noah Sheldon
Gaza Sunbirds: Against All Odds
Mama Agatha

会場と、手作り感ある運営
当日は機材トラブルがあったようで、開場が大きく遅れた。当日券の来場者が想定以上に多かったようで、椅子が足りず立ち見も発生。けれど、そのバタバタすらもインディペンデント映画祭らしい?
上映前には、ポッドキャストにも登場していたスタッフが挨拶に立った。さらに本国の主催者本人も登場し、BFF誕生の背景を語ってくれた。曰く、25年前、彼はニューヨークでバスに轢かれる事故に遭ったという。事故後、心ない批判にさらされる中で、「この経験をポジティブな文化活動に転換したい」と考えたことが映画祭の始まりだったと話していた。前衛映画の重鎮であるジョナス・メカスにも支えられ、BFFは世界100都市以上で開催されるまでに広がった
客層と協賛企業から感じる“カルチャー”
会場には、いわゆる“オシャレな自転車好き”が多かったかなという印象。メッセンジャーが多いように見えたが、外国人の姿も目立つ。英語圏ではBFFの知名度が高いのだろうか?
協賛にはブローチャーズ、ブルーラグ、MXインターナショナル、クローム、バイクランド、日東、三ヶ島、トーキョーバイクなど、ジャパニーズサイクルカルチャーを形成してきたブランド達によって支えられていることがわかる
会場の規模や料金、スタッフの人数を考えると、2,500円×約100人では到底ペイしない。これら協賛企業の支援が大きいのだろう。「カルチャーを育てる」という思想に共感するブランドが、資金面で支えている構図が見えた
インディペンデント映画祭である意味
参加する前は、YouTubeやTikTokで高品質な動画が簡単に見られる時代に、「わざわざ映画祭で観る意味って何だろう?」という疑問があったわけ
しかし、参加してみて、BFFには明確な意義があるように思えました
- 商業的なしがらみがないからこそ、自由な表現ができる
- コミュニティが“同じ時間と空間”を共有することで文化が育つ
- インディペンデントであり続けることで、運営ノウハウがコミュニティ内に蓄積される
非商業、コミュニティ、インディペンデントであること、「作品を観る場」でありながら、「文化を自分たちの手で育てる場」でもある。。。。日本だとコミケがそれに近い役割かもしれない(というかコミケはこの手のインディペンデントイベントとしては世界最大規模なわけですが)
自分が関わるグラベルサイクリングコミュニティと共通することが多いかも。他のイベントに依存しないからこそ、自由なルートセットが引けて、ライドに関するノウハウが溜まり、結果としてグラベルカルチャーが育まれる。
まとめ:映画とは別の体験
BFFは単に映画を観るイベントではなく、自転車という文化が歩んできた歴史と、そこに携わる人々の情熱に触れる場でしたね。手作り感のある運営も、雑多なカルチャーの混ざり方も、熱量ある挨拶も、すべて含めて「インディペンデント映画祭」と言うイベントの一部だったなと
商業的な完璧さではなく、コミュニティが文化を支える温度を感じられる──
そんなイベントに参加できてなかなか面白かった

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