アマチュアホイールビルダー、ちくわ輪業さんが組んだホイール、本人が安く売りに出されていたので、譲ってもらって使うことにした。
ホイールの仕様
リム |
Farsports Gravel、50/30G |
ハブ |
Ryet、F12*100・R12*142、センターロック |
スポーク |
Sapim CX-ray、前後24本 |
重量 |
F666g、R792g、合計1458g |
リムの形状はたぶんこれ
ワイド&ディープリム、フックスレス、スポークホールレス。流行りの規格盛り盛り
メジャーメーカーとの比較
メジャーメーカーでディープなグラベルホイールと比較するとこんな感じ
名前 |
重量 |
ディープ |
リム幅(外) |
ちくわ輪業謹製(Farsports) |
1458g |
50mm |
30mm |
ZIPP 303 S |
1540g |
45mm |
27mm |
ZIPP 303 Firecrest |
1,352 |
40mm |
30mm |
ZIPP 404 Firecrest |
1470g |
58mm |
23mm(内) |
HUNT 42 LIMITLESS GRAVEL DISC WHEELSET |
1548g |
42mm |
36mm |
ROVAL Terra CLX |
1296g |
32mm |
25mm(内) |
FFWD DRIFT |
1620g |
36mm |
N/A |
DTスイス ERC 1100 Dicut 45 |
1449g |
45mm |
29mm |
シマノアルテグラ R8170-C50 TL |
1570g |
50mm |
28mm |
シマノ GRX WH-RX870 |
1461g |
32mm |
30.2mm |
【参考】Carbonal 50mm チューブラー |
1273g |
50mm |
28mm |
チューブレスレディーのグラベル対応を謳う類似製品と比べてもひけを取らないのでは?表の一番下は手持ち最軽量ホイールのチューブラー。さすがに軽い。
インプレッション
ロードタイヤはPanaracerのAGILIST 28C TLRを組み合わせた。空気圧は4BAR。フレームはICAN A9だったりキャニオンのインフライトだったり。
ヤビツ峠、緑のAACRなど300㎞ほどは走っただろうか。
比較対象は手持ちロードホイール「Carbondalチューブラーホイール+ヴィットリアコルサ26C
ルックス
★★★★★
リム外幅30mmと超ごっつい。さらに無塗装でカーボン地がむき出し、かなりワイルド。日光の下だとカーボン地がキラキラ光って非常にかっこいい。個人的にとても好き。
デザインがちょっとシンプル過ぎるのでFarsportsのホイールステッカーを買って貼り付けた。黒ホイール+黒ステッカーで地味渋。
平坦
★★★★
ペースを上げ下げしないでイーブンペースで走っていると気持ち良い。走っているとリムの真円度が高く、かつ剛性が非常に高いことを感じる。アルミホイールでも1500gアンダーというのは珍しくないが、ここまでキビキビと走るホイールはなかなかないだろう。ここは素材の差をはっきりと感じる。手持ちのロードホイールも同じリム深さ(50mm)のため、エアロダイナミクスがどの程度良いのか実感は少ないが、ヤビツ峠の平坦区間でPBが出たので事実として速い。
速度の上げ下げでわずかに重さを感じる。この辺はグラベル兼用でリム重量がややあるからか?
登り
★★★
ヤビツ峠のヒルクライムは、手持ち最軽量のチューブラーシステムの方が速かった。システムで150gほどの差と考えると、ホイールの重さだけでなく、タイヤの転がり抵抗の影響が一定程度あるのかも。
下り
★★★★★
ホイールとして極めてがっちりしている。かなりぶっ飛ばしても破綻無し。地面に張り付くような安定感。硬い(高剛性)のに跳ねない、というのもアルミホイールには無い特色。
快適性
★★★★
ロードバイクに乗る時間がすごく減ってたまにこういうのに乗ると「固いな」と思うw
ホイールの剛性は非常に高く感じるが、ゴツゴツするような不快な感触はない。AACR160㎞でも最後まで脚が残る感覚があった。ここもカーボン(要は樹脂なのだ)の特性が生きていそう。
スプリント
★★★★
スプリンターではないので…。でも自分の脚力に負けてる様子は一切ない。
メンテナンス性
★★★★★
スポークホールレスが最高!
①エア漏れほぼ無し。金曜日の夜にエア漏れに気づいて夜通しあーでもないこーでもないとかやる必要がもうない。最高。1日0.2~0.3BARくらい下がるかな?エア追加せずに2日間の遠征くらいは可能。
②タイヤ交換の心理的ハードルが下がる。リムテープの張り直しが不要で気軽にタイヤ交換できる。今までだとチューブレスタイヤの交換はライドの3日前くらいにはやっておいて様子を見ていたが、これがなくなった。
チューブレスレディータイヤの普及を阻むのは「ビード上げ」「エア漏れ」「パンク修理」だと思うのだが、このうちの1つがほぼ撲滅されるのは非常に良いと思う。
問題は、スポークホールレスタイプなので、スポーク交換作業がめっちゃ面倒そうなことだ。難易度と頻度を考えると、必要なときは工賃払ってショップにお願いするのが良さそう。といってもスポーク切れってまだ1回しか経験したことがないし、かなりレアケースだろう。
グラベル
★★★★★
グラベルタイヤのIRC BOKEN PLUS 38Cを履いてグラベルも走っている。比較的ガレている御荷鉾スーパー林道を走ってみたがまったく不安無し。軽いから良く登るしディープリムなのでエアロも効いてる(気がする)
アルミリムと比べるとガレ場でほんの少し跳ねる感覚があるのだが、正直空気圧調整でどうとでもなるし、すぐ慣れる。
ロードの下りでは「跳ねない」と書いて、グラベルでは「跳ねる」ってどういうことだよって話なんですが、高剛性のロードホイール(特にアルミ)よりは跳ねなくて、完成車とかに付いてるローハイトのアルミグラベルホイールよりは跳ねるって意味です。
まとめ
総合性能
★★★★★
1本でなんでも使える万能ホイール。ヒルクライム以外は全く文句が無い。
Farsportsだともう一回り細身で軽量なホイールをリリースしているので、ロードメインならそっちもありかもしれない。
国内のアマチュアビルダーのホイールをはじめて使ったが、自分の脚ではまったく文句のつけようもないものだった。これはディスクブレーキ化したカーボンホイールが主流になって、ホイール組の理論が1つに収束しつつあること、それによりプロとアマチュアの垣根があいまいになっていることがあるのではと感じる。
- 軽量高剛性なカーボンリム
- ストレートスポークのハブ
- ※ハブ寸法はメーカー間の差異が少ない
- スポークはSapim CX-Ray
この条件を満たし、スポーク長をちゃんと計算して、丁寧に組み上げれば(といってもこれがとても難しいのだが)、高コスパなメーカー完組顔負けのホイールが出来上がる。
※ちなみに下図、どちらかがDT350でもう一方がRYETなんだが、区別できるだろうか?もちろん「神は細部に宿る」の通り、外見が似ているからといって性能が近しいかどうかは分からないが、ホイールの設計思想が収束していることが分かる一例ではないかと思う。ちなみに現行デュラエース/アルテグラホイールもこれと同じストレートスポークの2クロスだし、2to1に強いこだわりを見せていたカンパニョーロもテストモデルでは一般的な2クロスを採用している。
また、ホイールビルダーにお願いすればカスタマイズも可能なことも魅力だ。海外通販サイトを毎日チェックしたり、長納期でイライラするくらいなら、ビルダー謹製ホイールを使うのはあり。気になる方はちくわ輪業さんにコンタクトを取ってはどうだろうか。
【閑話】Farsportsについて
Farsports社、昨年の東京オリンピック女子ロードレースで金メダルを獲った、アナ・キーセンホーファー選手がここのハンドルバーを使っていたことで名を上げた。キーセンホーファー選手は大手メーカーから機材サポートを受けておらず、氏のバイクには、本人がベストと考えてチョイスしたパーツが取り付けられていた。そういった意味では品質はゴールドメダリストお墨付き🥇
ついでに日本のプロ樫木祥子選手も使ってるのだ。
今年から提供してもらっている
【FARsports Ventoux S4】ハブはセラミックスピード、スポークはカーボン。
UCI承認ホイールです。軽量で反応もよく、ダート、コントリートの下りも安定していました👌#farsports#monton#sportskid pic.twitter.com/x6zGo5LVLU
— 樫木祥子 (@ShokoKashiki_) April 6, 2022
【追記】
2023年富士ヒルでの戦績…まじすか…
ちくわホイールの富士ヒルの戦績
プラチナ 2
ゴールド 3?
シルバー 2?
ブロンズ 2?— ちくわ (@chikuwa_wheel) June 4, 2023
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