世の中で話題のグロータックのディスクブレーキを買ってみた。
結論から言うと素晴らしい出来でした。
仕様
growtac.com
ケーブル引きディスクブレーキ
フラットマウント仕様
キャリパー重量は136g。油圧のフラットマウントブレーキキャリパーとほぼ同じか、ちょっと軽い程度。
構造を色々見てたが、引き量とパッドの動きが正比例じゃない。中にカムが入っててそれで引き量をコントロールしてるのかな。引きはじめはパッドが大きく動き、後半になるにしたがってパッドの動きは小さくなる。つまり奥ほど強く効く。この機構のせいかパッドとローターのクリアランスを大きく取れ、油圧ブレーキで気になるシャリシャリ音が出にくい。
ちなみに色は無難なグレー。全5色だがピンクがあるあたりスモールマニュファクチュアならではだなと。
取付
Basso Terraのフレームをいただいたのでそれに取付。
取扱説明書がしっかりしており、ちゃんと読んで作業すれば難しくない。というか、シマノのブレーキに体が慣れていてはじめはまごついたが、慣れれば油圧よりはるかに簡単。特にキャリパーの位置決めは良く考えられている。
ケーブルが硬軟2種類付属していて、ハンドル周りなど屈曲のあるところは柔らかいの、それ以外は硬いのを使えとの指示。フロントはステム付近、リアはダウンチューブに入るところで切り替えた。
整備性
素晴らしい。動画が公開されているが、全て完全にバラして組立可能。しかも特殊な工具が全く不要。これほんと素晴らしい。
機械式ブレーキは油圧ブレーキと異なり、走行中にパッドが摩耗した場合の調整が面倒、と聞いていたのだが、これが非常に簡単だった。もちろん走りながらは出来ないが、道端でも1、2分で終わるだろう。
インプレ
舗装、グラベル混じりの半日ライドに持ち込んでみた。距離60㎞、獲得標高1700m。
タッチ
57系105のSTIで使用。このレバーはブレーキケーブルがハンドルに沿うようになりはじめた世代で、ワイヤーの取り回しはあまり良くないのだが…それを差し引いても素晴らしいタッチ。軽くて非常にカチッとしたフィーリング。ただし、油圧ディスクブレーキのような、ニュルっと、というかグニっとしたものとは違う。どちらかというとばっちり整備されたデュラエースのキャリパーブレーキみたいな、スッ、ククッ!とした軽いタッチ(伝われ)。
制動力
思った以上に効く。これも良く整備されたキャリバーブレーキのような、リニアに制動力が上がるタイプ。タイヤの細いロードバイクでは十分。急制動も試してみたが、きっちり効くがいきなりロックしたりしない絶妙な塩梅。
雨天では使っていないのでこれは試したら追記予定。
絶対的な制動力は油圧ブレーキに軍配があがる。油圧を10としたらEQUALは7~8くらいか?。SDA王滝の長くてきついダウンヒルのような、強力な制動力を必要とするシーンで使うのは用途外だと思う。また、長時間使うなら油圧の方が疲れにくいだろう。そいういう意味ではサーキットエンデューロや公道ロードレースのような頻繁なブレーキを繰り返すシーンでは疲れを感じるかもしれない。
その他
今回手持ちの5700系105を使って組んだが、このころのSTIレバーはかなり細身で、自分はあまり好きなシェイプではない。特にグラベルライドをすると、小型のブラケットが手のひらを局所的に圧迫して痛みが出てくる。ここはやはり現行が良いフィーリング。EQUALのブレーキは旧世代のSTIと組み合わせる人が多いと思うので、手のひらとの相性は気を付けたい。
輪行で運んだのだが油圧ブレーキと違って、エア噛みや輸送中にピストンが出てくるトラブルが無い。すごく気楽だった。
まとめ
思った以上に使える機械式ディスクブレーキ。これはスタメン張れる。
PROS
• タッチも良く、制動力も十分
• 旧いグループセットを活用できる
• 輪行やメンテナンスが気軽
• カラーが選べる
• 油圧よりも整備しやすい
CONS
• 絶対的な制動力は油圧に負ける
• 手に合わないレバーで組むとグラベルなどでは辛いかも
ディスクブレーキバイクを組みたいがメンテナンスが不安/面倒とか、手持ちの機械式コンポーネントを使いまわしたいとか、そういうのにバチっとハマる。
個人的には昔のデュラエースコンポーネントを使って軽量ヒルクライムバイクを組んだりしたら面白いなと思った。あとはシクロクロスバイク。実際稲城クロスにはグロータックの社長も走ってた。当然ツーリング、グラベルにも良し。トラブルを嫌うブルベ勢にも悪くないチョイスじゃないかな(ブルベは詳しくないので勝手に勧めると怒られそうだがw)
あと、ブルーラグ的バイクにドハマりする。カラバリも多いし、切削部品のこういう感じ、好きでしょ感がすごい。ユーザーもどちらかというとメカニックをする方とは思えないので油圧ブレーキより機械式ブレーキが向いてるんじゃないか。PaulとかWhite Industryととかと組み合わせたらバキバキにマッチしそう。Growtac社は規模を追求しないだろうし、こういった中小規模のきらりと光るメーカーを目指すのが良いのかなぁと思った。なんならKingみたいに定期的に限定カラー出したら受けそう。
キャリパーブレーキと油圧ブレーキの過渡期に咲いたあだ花、と先入観を持っていたのだが(失礼)、案外息の長い製品になるんじゃないか?
こいつは結構推せます。長く使うことになりそうな予感。
閑話
ちなみになんとレバーも開発中だという。Growtac社、新製品も含め今後が楽しみだ。
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