ダウンカントリーってどんなカテゴリーのバイク?ってチームメイトに訊かれたんだけど…すみませんちゃんと定義は把握しておりません。えーとたぶんあれですね、ダウンヒルとクロスカントリーのいいとこどりみたいな、そういうやつ、たぶん。
気になって調べてみたけど、日本語ではググってもあんま記事が出てこないな。
海外の記事なら分かりやすいのがある。
www.mbr.co.uk
【訳ここから】
ショートトラベルでアグレッシブ。ダウンカントリーバイクは、トレンドの最前線に位置しています。このカテゴリーのお気に入りのバイクをご紹介します。
ダウンカントリーバイクとはどんなバイクか?
一般的なマウンテンバイクの分類とは異なり、ダウンカントリーはサスペンショントラベルだけでカテゴライズされるものではありません。ダウンカントリーバイクは、ショートトラベルとプログレッシブジオメトリーの組み合わせがすべてです。しかし、ショートトラベルとはどのくらいのトラベル量なのでしょうか?また、「プログレッシブ」ジオメトリーとは何を意味するのでしょうか?
私たちの仕事は、マウンテンバイクの混沌とした世界をより多くの人に理解してもらうことだと思っていますので、ダウンカントリーバイクの基準を列挙したいと思います。
サスペンショントラベルは120mm以下です
サスペンションのトラベルは前後とも120mm以下としましょう。典型的なダウンカントリーバイクのリアトラベルは100mmくらいです。フロントに130mmトラベルのフォークを持つ場合は除外されます(もちろん普通はね)。ただ、中には我々が許容する範囲を超えた例外もあります。そうでない場合は普通のトレイルバイクに近すぎます。だから、Norco Optic、Nukeproof Reactor 290c ST、YT Izzoは外れます。あまりにもトレイルバイクすぎます。
とはいえ、前後トラベルを100mm以下にするべきではありません。それはXCレース用となります。
ヘッドアングル67度以上はありません
ヘッドアングルの話です。ダウンカントリーに分類されるためには、XCとは異なるジオメトリーが重要な要素となります。ジオメトリーといっても、実際にはヘッドアングルのことを指します。ダウンカントリー用マウンテンバイクのその他の角度や計測方法については、現在のところあまりコンセンサスが得られていないのが現状です。
しかし、すべてのダウンカントリーバイクのヘッドアングルは67°よりも急な角度にすることはできません。66°は最も一般的に見られる数字です。
ビッグホイールのみ
ここには27.5のホイールはありません。27.5と29のミックスであるマレットのセットアップでもありません。ダウンカントリーのカテゴリは29インチのホイールが支配しています。
スペックシートは誤解を招く可能性があります
ダウンカントリー用のフォークの中には、本格的なクロカンレース用のフォークもあります。34-35mmの中途半端なスタンチョンのものもあります。4ポットキャリパーブレーキと巨大なローターを装備したものもあります。180/160のツインポットのものもあります。中には、ステムがダサいものもあります。ステムの長さが50mmを超えるものもあります。
ダウンカントリー体験の鍵を握っているのは、おそらくフィニッシングキット(ハンドルやタイヤなど)なのだと思います。それからライダーがライドに何を期待しているかが重要です。一部のダウンカントリーバイクは、元XCのピチピチジャージを着た連中が、より楽しく、より少ない努力でライドを楽しみたいと思っている人をターゲットにしているように見えます。それ以外のダウンカントリーバイクは、超高性能なエンデューロバイクに飽きてしまって、日曜のトレイルライドに限界を感じているやばい連中をターゲットにしています。
私たちの意見では、後者のタイプのダウンカントリーバイクが最も面白く、エキサイティングだと思います。トレイルバイクのふりをしたクロカンレースバイクは、アドレナリンを出すために必要なものだけを削ぎ落としたエンデューロバイクに比べて、面白みのある提案ではありません。スラッカー、ロング、ローダウン…ショートトラベル… これが定義です!異論は認めるぞ!
話題のダウンカントリーマウンテンバイク10選
Cannondale Scalpal SE
https://www.cannondale.com/en/bikes/mountain/trail-bikes/scalpel-se/scalpel-carbon-se-1
これは、ダウンカントリーにスープアップされたXCレースバイクの良い例です。キャノンデールはスカルペルXCレースバイクの前後に20mmのトラベルを追加しました。ヘッドアングルも68°から67°と少し緩くなっています。しかし、最も大きな違いはフィニッシングキットかもしれません。ドロッパーシートポスト、ショートステム、ワイドハンドルバー、大容量タイヤを装備しています。Evil Following
https://www.evil-bikes.com/a/bikes/following
まだリストの2台目ですが、もうダウンカントリーのルールは破られています。このバイクには130mmトラベルフォークが付属していますが、このバイクはショートトラベルバイクの代表格であるEvilに相応しいと感じたから紹介しました。このバイクは、経験豊富なエンデューロレーサーのダウンカントリー用バイクの中でも最も優れた例の一つです。Guerilla Gravity Trail Pistol
https://ridegg.com/products/trailpistol?option=Race
本国アメリカでもカルト的なブランドであるゲリラグラビティのバイクは、イギリスのトレイルではあまり見かけることがありません。アメリカ製のカーボンファイバーを使用していることが彼らの強みであり、価格は恐れるほど高くはありません。Trail Pistolは彼らのダウンカントリー用バイクです。120mmのサスペンションと印象的なジオメトリー(ヘッド角65.9°、シート角78.1°、Lでリーチ493mm)、そしてよく考え抜かれたパーツが組み合わされています。KONA Hei Hei
https://www.pinkbike.com/news/review-konas-fresh-hei-hei-can-make-cross-country-fun.html
一見するとダウンカントリーのマウンテンバイクには見えないかもしれません。Hei Heiのヘッドアングルは67.5°で、上記のルールを破っています。はいはい、ヘッドアングルが67.5°というのはルール違反です。しかし、上記のEvil Followingと同様に、ダウンカントリーのアーリーアダプターとして印象的な存在であり、ムーブメント全体の道を切り開いたモデルだからこそ、このリストに入れたのです。Hei Heiは、本を表紙で判断できない、あるいはバイクをジオメトリーで判断できないという典型的な例です。NS Synonym TR2
https://www.nsbikes.com/synonym-tr1,429,pl.html
比較的無名のブランドでありながら、既成概念にとらわれず、ちょっと変わったことをすることに恐れていないブランドNS Bikes。60mmのロングステム、760mmの狭いハンドルバー、そして細身のタイヤという、ちょっと変わったスペックにもかかわらず、NS Synonymの基本的な数値は、ダウンカントリーでの活躍を印象づけてくれる。前後トラベルは120mm、ヘッドアングルは66°、Lサイズのリーチは491mm。Orange Stage Evo
https://www.orangebikes.co.uk/bikes/stage-evo-xtr/2021
旧型のオレンジフォーはディスコンみたいですが、その代わりに登場したのが、StageのスケールダウンバージョンであるStage Evoです。フォークトラベル(130mm)はダウンカントリーのラインを越えているが、リアトラベルは116mmしかないので、これで良しとしましょう。明らかにダウンカントリー路線の一部であるにもかかわらず、Stage Evoは独自の路線を歩んでいます。他のOrangeと同じように、多くの魅力があるか、全く魅力が感じられないかのどちらかでしょう。1日乗ってみて、私たちはこのバイクの大ファンになりました。Santa Cruz Tallboy
https://www.santacruzbicycles.com/es-CL/tallboy-my19
永遠にプレミアムであるという彼らの好ましい状況にもかかわらず、サンタクルスは頻繁に最先端の後塵を拝している。しかしTallboyはそうではありません。実際、2009年に発売されたTallboyの最初のバージョンは、多くの自転車メディアの報道陣に29インチホイールへの熱狂的な支持を与えた自転車だったのではないでしょうか。他のどのバイクよりも、Tallboyはダウンカントリーの起点となっています。新しいバージョンもまたその先頭を走り続けています。Speciarized EPIC EVO
https://www.specialized.com/jp/ja/stories/epic
さて、ここからがダウンカントリーの面白いところです。先駆的なEnduro 29と同様に、Epic Evoは、ダウンカントリーの行く末を示す最初の本当に適切に実行された例であると言えるでしょう。なぜこのようなことを言うのでしょうか?それは、これまでのダウンカントリーバイクの中で最も広い範囲をカバーしていると思われるからです。ワールドカップXCレースに出てもいいし、日曜のセッションに出てもいいし、好きなように走らせてもいい。Transition Spur
https://www.transitionbikes.com/Bikes_Spur.cfm
”ハッバ-ハッバ” ”ホイット・ウー”(いずれも興奮を表すスラング) といったところでしょうか。新型トランジション・シュプールは ダウンカントリー・マウンテンバイクの王座を 奪うかもしれない。見てください。シャープでありながらも親しみやすい美学を具現化した、現代のショートトラベルマウンテンバイクの優れた例と言えます。トランジションは、まさに「デキル小さなブランド」なのです。Yeti SB115
https://yeticycles.com/bikes/sb115
正直なところ、ダウンカントリーバイクが届くまで何年も待っていたのに、同じ日に2台も届きました。イエティSB115とそのダウンカントリー性能には賛否両論あるが、このリストに入れておかなければならないのは、人気が高いからだ。現代のYeitsの中でも最も見栄えの良いモデルの一つであるだけでなく、クロカンやマラソンに出てくるような少し年配のライダーにも魅力的なモデルであることは間違いない。Whyte T-120
https://whyte.bike/collections/t-120-trail
こいつはおまけです(笑)。11台目のダウンカントリーバイクがトップ10にランクインしました。またルールが破られて 申し訳ありません。この手のリストにはよくあることですが、広い世界に向けて公開すると、多くの人が「でもあのバイクはどうなの?」と。ほとんどの場合、その提案はあまり良いものではありません。しかし、今回は本当にこの特別なバイクを掲載すべきだったのです。ヘッド角65.6°、前後120mmのトラベル、ロングトラベルのドロッパーポストに480mmのリーチ、有能なフィニッシングキットを搭載しています。ダウンカントリーのすべての定義を完璧に満たしています。2021年には他にも何が登場するのでしょうか?秋にはダウンカントリー用マウンテンバイクが続々と登場することでしょう。
【以上訳ここまで】
ふむふむ、①前後120mm程度のトラベル量、②HA67°でロングリーチなジオメトリー、③XCレース向けではないパーツアッセンブル、この辺がダウンカントリーの定義ってことか。もちろんこの定義自体はMBRオリジナルのもので、厳密なものではないと思うんだけど、ひとつの指針にはなると思う。
実際、ほとんどのMTBライダーはガチのXCレースなんてめったに出ないし(出ないよね?)、そもそも国内ではそんなXCレース自体が少ない。また、ゴンドラのあるゲレンデ常設のDHコースへ行く頻度も低いと思う。
やはり、基本は自分で登って下ってくるトレイル自走スタイル。そういったライダーのために昔からオールマウンテンというカテゴリーは提唱されてきて、一定の支持を得ている。ダウンカントリーはそのオールマウンテンのポジションに新しく収まりつつある(あるいは上書きしつつある)カテゴリと言えそうだ。
実際、自分が乗ってるFM936もこのカテゴリーで、もうこれ以上ないほど幅広く使ってる。
我ながらびっくりするほど使い倒してるなw
ショートストロークなので登りをあまりスポイルせず、ヘッドアングルが寝ていてホイールベースが長いので高速の下りで安定している。タイヤとハンドルバーを変更することでクロカン寄りにもダウンヒル寄りにもセッティング変更が可能だ。もちろん、中途半端と言えばそうなのだが、1台持つなら無駄の少ないチョイス。
ダウンカントリーという言葉が注目を浴びる背景は何だろう?
オールマウンテンカテゴリが過激化(エンデューロバイク化)して、だんだん自走で登るのが辛くなってきたことの揺り戻しがあるのかもしれない。e-MTBが普及していく中、e-MTBの登りの速さに人力でついて行かなくてはいけないケースが増えているのかもしれない。XCバイクのフルサス化が進み、パーツアッセンブルやほんの少しのジオメトリー変更でオールマウンテンライクな走りが出来るようになったことがあるかもしれない。たんに人々がオールマウンテンという言葉に飽きてしまったのかもしれない。あるいは海外のグラベルバイクブームによって、基本性能が近いクロカン系MTBのニッチがグラベルバイクに浸食されているのかもしれない。
たぶんそれぞれの理由がすこしづつMIXしているのかも。
割と単純にダウンカントリーって語感が結構良いよね。スキーとかのバックカントリーに通じるものがあってアドベンチャー感がある。面白そうだから定着してほしいw
【追記】
Canyon LUX Trailが発表されてから、この記事のアクセスが増えています。まさにLUX Trailはダウンカントリーバイク。レース参戦しないなら2021年におけるベストMTBなんではないかと思います。
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