先日の茨城CX#1涸沼で勝ち、めでたくCM1(MM1)に昇格できた!
(もっと言うと、単に昇格しただけでなく、明らかに昨年の自分と比べて速くなった)
昇格のために、オフシーズン中、色々と新しいことに取り組んだので、どんなことをしたのか整理して公開することにした。昇格を目指す人の参考になれば幸いだ(というか昇格したらドヤ顔でこの手のエントリーを上げたいと思ってたw)
きっかけ
新しいことに取り組もうと思ったきっかけは、単純に力不足を感じたため。20-21シーズンをCM2で戦う中で、このままでは当分昇格出来ないな、と。もちろんがむしゃらに走っていればいつかは昇格出来るんだとは思うが、なんというか、「念が使えないのに天空闘技場200階にチャレンジする」感があるというか。。。回復力も未来もある若いライダーならそれでも良いのかもしれないが、おじさんライダーはもっと別の手段を取る必要がある。【追記】チームメイトに指摘されたが、要はプラトーに達していて、今までと同じ刺激では伸びなくなってきていたということだ。
パフォーマンスを支えるピラミッド
いままで深く考えていなかった「パフォーマンスはどんな要素に分解されるか?」について分析を行った。パフォーマンスを要素に嚙み砕いていって、それぞれの要素にフォーカスしたトレーニングを行う。がむしゃらに走ることでパフォーマンスを上げるスタイルが「トップダウン」型だとしたら、これは「ボトムアップ」型のスタイルと言える
パフォーマンスと要素の関係、自分なりの理解を図示するとこんなピラミッドになる
一番上は「コンディショニング」のレイヤー。体調を整え、怪我をしにくい身体を作る
その下に「フィジカル」のレイヤー。しっかりとした走れる身体を作る。
その下に「スキル」。走れる身体を、コースを走らせる能力へと変換する。
その下は「機材」。身体と能力とをコースへ結びつける要素
その下に「メンタル」。精神的な能力だけではなく、トレーニング理論やポイント戦略(頭脳)などが含まれる
最後に全てを統合した「パフォーマンス」。全てのレイヤーが噛み合ったときに最高の成績(≒昇格)に繋がっていく
こういうイメージだ。
それぞれ具体的にやったことを書き込むとこんな感じ
上のレイヤーから順に新しく取り組んだことを説明。。。
コンディショニング
無事これ名馬の通り、怪我と故障をいかに防ぐかが重要となる。また年齢的には疲労回復の速度が極めて重要。「柔らかい身体」「疲労回復促進」「軽い、キレる身体」作りを目標とした
ストレッチ
【目的】可動域を増やすため
【メニュー】竹脇まりなさんのストレッチメニューをアレンジ
【頻度】週3日程度
【効果】可動域が広がった。大きくバイクを動かすアクションを入れる際にスムーズさが増した
マッサージ
【目的】疲労回復目的。
【内容】マッサージ屋さんへ行ってマッサージ
【頻度】だいたい週に1回
【効果】効果は不明、どちらかというと気分転換かもしれない。ただし同じマッサーにお世話になっていると、「ここが張ってますね」とか「最近〇〇を鍛えてますか?」とかフィードバックを貰えるので、割とありがたいと思っている
フォームローラー
【目的】疲労回復目的。
【頻度】週3回
【メニュー】下半身中心
【効果】ストレッチついでに下半身をゴロゴロ。もうね、翌日起きたときの脚のハリが全然違う。疲労回復効果が一定以上あったと思う。ちなみにマッサージガンも使ってた時期があったのだが、大きな筋群には深く届いてない(?)感じがして続かなかった。
あすけんで体重管理
サブスク500円/月のダイエット(食事と運動)アドバイザリーアプリ
あすけんの女(先生)がアドバイスをくれるんだが、とにかく、「脂は減らせ!タンパク質を摂れ!」と言われまくった。そして、ほぼ毎日お腹いっぱい食べてるにもかかわらず体重がどんどん減る不思議!
【目的】PWRの向上
【頻度】毎日
【効果】4kg減量。PWR+0.2
体重管理が上手くいったこともあるが、とにかく「これが身体がキレるというやつか!」という感じで、夏場の調子はすこぶる良かった。
フィジカル
要はZwiftと筋トレです。今年はあれこれ手を出さず、特定のメニューに絞り込んでトレーニングを行った。そういう意味では「新しく取り組まなかった」点が新しいのかも?
Zwift
室内トレーニングではSSTとタバタ、この2つしかやらなかった。週に5~6時間しか時間が確保できず、多数のワークアウトを行うのは難しかったというのもある。ワークアウトの数を絞ることで、調子の良し悪しや、効果測定がやりやすく(※)、トレーニング自体をシンプルに出来た。結果的にあれこれ考えることなくフォーカス出来たと思う。脳死状態でのトレーニングはあまり良くないと思うので、ここは良し悪しではあると思うが
※例えばSST(MED)を2回連続でクリアーできれば、FTPの値は十分上がっていると判断できるだろう、など
実走
春夏は実走はほぼしなかった。外部要因(一緒に走る人、天候、ルートなど)の影響が大きく、トレーニング効果を測りにくいと判断し、ここはバサッとカットした。また、故障の原因になりやすいことや、ダメージコントロールが難しいことなど、トレーニングとして考えると案外デメリットの方が大きいと思う。もちろんファンライドとしては楽しいので時々やったのだが
秋の時点で、春先からバーチャルのFTPが+5W、タバタ強度が+10W向上した。タバタ強度は割とはっきり上がった感じがするが、FTPは誤差かもしれない。ただ体重管理を行うことでPWRを伸ばせたのはプラスだった
CTL
CTL(フィットネス)はシーズン開始時に46くらい。最大でも50前後。自分で言うのもなんだけど、全然乗ってないと思う。世の中にはCTL100とかの人がいっぱいいてマジで凄いなと思う…
筋トレ
パワー!
筋力は車で言うボディやサスペンション。シクロクロスでは高強度/高速で悪路を走るので、これがたりないと身体がぐにゃぐにゃにして、パワーを路面に伝えられない
家で簡単に出来るやつが良くてケトルベルをチョイスしてはじめてみた。週に2回、定番のケトルベルスイングとゴブレットスクワット。負荷は8kgからはじめ、その後12kgまでアップ。3か月ほどで人生ではじめて腹筋が割れたw
実戦の茨城CX#1涸沼では、レース後半に軸がぶれたり、バランスを崩したりすることが明らかに減ったことを実感。筋トレは間違いなくシクロクロスに有効だ。
※定期的に「自転車乗りに筋トレは必要か」が話題になり、毎回意見が割れるが、これは筋量に個人差が大きいためだと思う。元々筋量が少ない人ほどやる価値が大きい。ケトルベルは比較的安価だし場所も取らないのでとっつきやすいと思う
スキル
せっかく冬場にレースや練習で身に着いたスキル、夏場に何もしないと、当然下がる(正確に言うと、「シクロクロスに対する慣れ」が身体感覚から失われる)。そして次のシーズン、レース毎にだんだん勘を取り戻し、ようやく、なタイミングでシーズン終了…シクロクロスあるある
大事なのは、汎用的なバイクコントロールのスキルを身に着けること。そのため、シクロクロスをやらない春夏も、スキル強化を怠ってはならない。むしろ、オフシーズンはスキルを鍛える絶好の時期と考えた
ロードバイクでの実走をしないことで、週末を中心にかなり時間を作ることが出来る。その時間をスキル養成に費やすことにした。逆に言うと、CTLを高く保とうとするとここにリソースを割くことが出来ない。CTLを低く保つことは不安が多く、正直ここはギャンブルだと思ったところでもある
ここで問題なのだが、スキルは非常に重要にも関わらず、FTPなどと違って数値化出来ない。そう、スキルは数値化できない。そのため、自分のスキルが高いのか低いのか、成長しているのか後退しているのか、判断が非常に難しい。ここがスキルトレーニングのノウハウが蓄積されにくい要因でもある
航海に羅針盤が必要なように、スキル向上にも指針が必要だ。重要なのは評価とフィードバック。第三者による客観的な評価、スキル改善ポイントの指摘(フィードバック)、この2つが重要
じゃぁ、具体的なスキルトレーニングでは何をするかということだが、タイヤ径の小さいバイクに乗るトレーニングを検討した。具体的にはBMXや26インチのダートジャンプバイク、トライアルバイクなどだ。理由は2つ。一つ目の理由は、この種のアクションスポーツの競技人口が厚く、フィールドが多いことだ。
・常設コースが各地にあって、上手いライダーを間近に見ることができる
・層が厚く、上手いライダーからアドバイスを受けやすい(評価とフィードバック)
・コースは狭く、振り返り用に動画を撮りやすい(自己評価)
人間は真似をする動物なので、独習よりもお手本が必要。モチベーションを保つためにも常設コースに通うことにした
ふたつめの理由は、機材を緻密にコントロールするトレーニングになるから。球技とかでも、ボールを小さくして芯を食う練習を良く見かけるが、自転車も同様。小さいバイクはすぐにバランスを崩してしまう、小さいバイクはタイミングを取るのが難しい、小さいバイクはミスすると分かりやすい、と、正確なバイクコントロールの養成にぴったりだ
これら2つの理由で、小さめのアクションバイクが良いと判断した。機材が比較的安価なことや、フルプロテクションで練習するので、意外と怪我をしにくい点も無視できない
しいてデメリットを上げるなら、若くて巧いライダーが多くてオジサンの自尊心がバキバキになることくらいかwww(プライド故にこういうのをはじめられないオジサンが割といるのは事実なので案外笑えないが)
BMX
夏場はこれのみ!
川口ゴリラ公園やおんしりんバイクパークでひたすら走り込み。意識したのはバイク(≒身体)を大きく動かすこと。漕ぎは常に全力。短時間高出力のインターバルトレーニングになり一石二鳥。
数えたら半年で12回コースを走った。ゴリラ公園は300周くらい走っただろうか。100周毎にひとつレベルが上がるかなぁくらいの成長速度。正直、どの程度シクロクロスのパフォーマンス向上につながったかは不明。単に楽しいからやってたのかもw
初戦の茨城CXでは、朝イチにコースインしてもほとんどビビりを感じなかった。バイクの挙動がBMXと比して緩やかなので、バイクの滑り出しに余裕を持って対応できる。先シーズンまでと比べ、明らかにバイクが小さく感じる。手のひらの中にバイクが収まっている感覚すらあった(これは言い過ぎかも)
スクーリング
冬場はBMXで培ったコントロールをシクロクロスバイクに落としこむべく、いくつかスクーリングを受けるつもりだった。スクールは過去にも受けたことがあるが(これとかこれとか)、一人ではなかなかたどり着けないレベルのスキルを学べる。
他にもシクロクロスバイクを使った、一人で出来るトレーニング方法も考えていたのだが、シーズン終わる前に昇格したのでこの辺はちょっと中途半端な感じ。折を見て別でエントリーを上げたいと思う
機材
機材は壊れるし盗まれるしアップデートしてもわずかの間しかモチベーションが続かない。冒頭書いた通り、後回しにしたい
いまはプロの使う機材がかんたんに手に入るし、機材がパフォーマンスのボトルネックになることは無い。もちろんブラケットポジションにうるさくなるのは大事だし、タイヤチョイスは重要だ。ただ、ややもすると、拘っても拘ってもたいして速くなってない、いわゆるタコツボにハマるリスクがある。どちらかというとこの辺はマージナルゲイン。少なくともC4(今年はME4か)やCM3(各MM)とかで走ってるライダーはあまりここにリソースを割きすぎるのはどうかなと
また、メディアなんかを読んでると、どうしても機材面が大きく取り上げられてそっちに目がいきがち。しかし、メディアは広告収入に依存しており、機材やサプリメント類の情報が多くなるということをわすれずにいたい
機材そのもの
現状の機材は、トップ選手のものがほぼそのまま入手でき、十分高機能。拘ってももちろん良いのだが、それ以外の要素にコストを振り向けた方が効率が良いと思う。Di2化してあと何秒削れるか、という話なんですよ。1周で2秒?3秒?それで何番順位が上がる?スキルを磨いてコーナーひとつあたり0.5秒速く走れれば1周10秒以上詰められるよね?筋力強化してストレートで踏めればさらに5秒短縮できね?要はそういう話
機材に拘るの、楽しいんだけどね。投入するリソースの割に効果が低い
セッティング
セッティングは重要だが、ライダーのフィジカルやスキルの影響を強く受ける。そのため、このセッティングが絶対だ!というものは無いと考えている。上手い人がハンドル低めだから自分も、みたいなことはやめた方が良い。正直セッティングって体の方が慣れてしまう部分があるので、あんまり根を詰めてやるものではないんじゃないか。なのであんまり拘らないように気を付けた
ちなみに自分はハンドルブラケットを機材の限界まで上げ、サドルは限界まで後ろに引いている。結構ユニークなポジションだけど、これが今の自分のフィジカルとスキルにフィットしている
機材に拘るの、楽しいんだけどね。投入するリソースの割に効果が低い(2回目)
メンタル
心理面だけでなく、頭脳面や戦略、経験値なども含めてのメンタルとの理解
トレーニング理論、シーズンを通してのポイント戦略、実際のレースでのゲーム運び、と大きく3つに分けて考えていたのだが、いまひとつきちんと整理しきれなかった。もう少し考えて別でエントリーを上げよう
そしてパフォーマンスへと…
まとめ
ざっとこんな感じだろうか。オフシーズン中は、ピラミッド図の上部にある「コンディショニング」「フィジカル」「スキル」の3つを強く意識して過ごした。取り組みがうまくハマり、念願の昇格を果たすことが出来たので、これはこれでひとつの正解だったのではと思う
これを読んで「え~結局何が効果的だったわけ?」とお思いになった方もいるかもしれない。どれ、というわけではなく…上手く言えないのだが、「何が自分に足りてなくて、どんなことをする必要があるか?」を考え、PDCAを回していくことに意味があったのではと思う
自分はレースのときしかシクロクロスバイクに乗らないシクロクロッサー(※)だし、トレーニング自体もちょっと極端だと思うので、全ての人に当てはまるとは思わないが、あくまでひとつの参考として、昇格を目指すライダーのヒントになれば幸いだ。
※「お前シクロクロスバイクでグラベルを年中走り回ってるやん!」という突っ込みがあると思うのだが、あくまでグラベルは気分転換のファンライドで、グラベルライドとシクロクロスは本質的に異なる。たとえグラベルライドを何百キロこなそうとも、シクロクロスはほとんど上手くならない。かたやエンデュランスでこなたスプリントだし、コーナーの曲率もぜんぜん違う。強いて言うなら、低ミュー路面に対する慣れが生まれるくらいだろうか。自分がグラベルにシクロクロスバイクを持ち込んでいたのは単に機材が使いまわせるからに過ぎない
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