今年は緊急事態宣言で増えたダイエット目的のためにハルヒルに申し込んでいた。ヒルクライムにエントリーすることで体重を意識せざるを得ないライフハックだ。コースもほどほどにキツそうだし時期的にも5月は予定イベントが無いので丁度良い。
ハルヒルというと、ライダーに愛されている印象で、どうしてそんなに愛されているのかいまいちわからなかったのだが、今回自分でエントリーしてみて、その運営がすごいな、と深く感じ入った。
まず、東京に緊急事態宣言が出ている4月30日にメールが届いた。
(前略)
XXXX様第9回榛名山ヒルクライムin高崎は、参加選手や大会に関わるすべての方々の健康と安全を最優先に考え、感染防止対策を徹底したうえで開催する予定です。
しかしながら、東京都、京都府、大阪府、兵庫県では緊急事態宣言が発令され、県境を越える移動の自粛が求められています。
大会実行委員会では全国的に感染が拡大している現在の状況を踏まえ、緊急事態宣言発令地域に限らず、新型コロナウイルス感染症拡大防止等の観点から今大会の参加をご辞退される場合において、エントリー手数料を除く大会参加料を全額返金させていただくことといたしました。なお、ご辞退の確認方法ですが、大会当日の計測結果が未計測の方をご辞退者と判断させていただきます。
そのため選手の皆様から事前にご連絡をいただく必要はございません。(後略)(太線筆者)
つまり
・予定通りレースはやるよ
・でも参加しなかった人には全額返金するよ
・何もしなくてもレースに参加しないだけで手続きするよ
要は当日参加と同じだ。これだとギリギリまで出走判断を遅らせられる。宿泊予約をせずに前日朝出走も可能だ。前泊者をある程度抑制しつつ、レース開催を探る良いアイディアだなと思った。
この時点でかなり運営に好印象を持ったのだが、さらに5月7日にこのような文章がwebサイトにアップされた
5月7日、国は緊急事態宣言が発令されている4つの都府県に加え、2つの県を追加指定し、まん延防止等重点措置地域についても3県を追加するなどし、解除期限を5月31日まで延長すると発表しました。
大会実行委員会では、今回の発表と、国内において今もなお感染が拡大している状況を踏まえ、大会当日の5月16日時点において、緊急事態宣言が発令されている地域の皆様、また、まん延防止等重点措置の対象となっている市町村の皆様に対しまして、大変心苦しいお願いとなってしまいますが、今回の大会のご辞退をお願いしたいと存じます。
日ごろからハルヒルをお引き立ていただいております皆様に対し、踏み込んだお願いとなってしまい大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが、何とぞご理解をいただきたいと存じます。
つまり
・蔓防/緊急事態宣言エリアの人は来ないで
・その場合はもちろん返金はするよ
すごく大変な意思決定だと思う。
イベントには多数の利害関係者が関わっている。
レースに出たい人、広告をしたいスポンサー、地域の観光業はできれば開催してほしいと思っているだろう。半面、感染症対策に不安を覚える参加者や、地元住民で新型コロナに対してハイリスクな人やその家族などは開催に対してネガティブな感情を持っている。ネガポジ双方に対していわゆる「大岡裁き」を見せた格好だ。
玉虫色な決定と言えばそうかもしれないが、多くの利害関係者に対して誠実であろうという姿勢は本当にすごいと思う。
この時点で相当良い運営だと思ったのだが、さらに5月12日、事務局から電話があった。
「事務局ですが、蔓延防止措置と緊急事態宣言エリアでエントリーしている方にお電話しています。webサイトにも掲載している通り、今回はご辞退いただけないでしょうか?その意思確認のお電話です。また、返金の際に計測チップを返送する封筒も同封しているのでそれでチップを返送してほしいです」
もちろん辞退の旨伝えたのだが、これには相当びっくりした。ハルヒルは例年7000人強の参加者があるという。蔓延防止措置/緊急事態宣言エリアからの参加者も相当いるはずだ。間違いなく4桁人数なはずで、その一人一人に電話をしている*1。アマチュアイベントでここまでやるのかと。昨年2020年はイベント自体が中止だったのだが、これも全額返金したのだという。チームメイトがエントリーしていて「ハルヒルは神運営だよ」と言っていた意味が良く分かった。なるほど、「神運営」と言われるわけだ。。。脱帽。
事態が収束したら、ぜひ改めてエントリーしたい。出来れば返金されるエントリーフィー、わずかだけど運営に寄付したい(できるのかな?)
ちなみに、当初予定していたダイエット目的はちゃんと果たされた。例年と同じくらいの体重に戻り、ついでにGWにはヤビツ峠のタイムもPRを更新(名古木セブンスタートで40分切り)した。仕上がりは上々だったが、まぁしょうがない。来年以降に持ち越しだな。
この動画の面白さが100%分かる日はいつ来るか…
直近で参加を考えていた2つのイベント、このハルヒルとGrinduro!(というか振替のMADURO!)は無くなってしまったが、運営については結構コントラストが強いなぁ。。。
*1:メールで既に辞退の意思表示をしている人には架電してないと思うけど
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