変化するエンデュランスロード

 

新しいロードバイクを買った

新しいロードバイクを買いました。次はいわゆる エンデュランスロード と呼ばれるカテゴリーです。「おれもついに上がりバイクか~」と感慨にとらわれたのですが、「いやちょっと違うな、エンデュランスロードの立ち位置が変わってきてるんだな」と思ったので、つらつらと考えたエンデュランスロードの変化についてメモがてらエントリーを上げることにしました。

ちなみにバイクはまだ届いてないです。乗り出しは年明け予定

 

バイクに対する要求事項=エンデュランス

まず、なんでエンデュランスロード買ったのかというと、現有のロードバイクに全然乗ってないからで、乗ってない理由は今のバイクと自分の要求事項がマッチしていないからです

要求事項ってこんな感じ

レースはしない、ヒルクライムもしない。でものんびりじゃなくてそれなりの速度で100~150㎞くらい走る。バイパスは通らない、車と競争しない。荒れた田舎道や裏道や舗装林道を走りたい。なんならちょっとくらいのグラベルは走っても良いな

そういう使い方にマッチしたバイク、となるとエンデュランスロードです。グラベルレーサーでも良いんですが、タイヤ35~38Cくらいのファストライドがしたい、となるとエンデュランス系ロードかなという。正直、グラベルレーサーとエンデュランスロード、どちらにするかは選択が悩ましいところではあります

 

変化するエンデュランスロード

というわけでエンデュランスロードを注文したんですが、いわゆる古くから定着してるエンデュランスロードといま売ってるエンデュランスロードはちょっと違います

古典的エンデュランスロード

エンデュランスロード、従来はこういうイメージがあると思います

  • 柔らかめのフレーム、スタックは高めだがそれ以外はロードバイクと共通のジオメトリー。32C前後のタイヤ、落ち着いたコスメティックス

おじさんがサイクリングロードを軽く流して景色の良いところで缶コーヒー飲むようなバイクです。間違ってもヒルクライムとかはしない。レースなんてもってのほか。年に1回仲間に口説かれて富士ヒル出たりしますが、基本はのんびり。こういうバイクのことを後述のバイクと分けるために、古典的なエンデュランスロードとでも呼びましょう。特徴は“レースへのアンチテーゼ”です

新しいエンデュランスロード

昨今、エンデュランスロードは大きく変化しています。具体的にはグラベルバイクの影響が強く表れている

  • レース用ほどではないが十分硬いフレーム、安定性と操作性を重視した高いスタックとロングホイールベースのジオメトリー、38C程度の太いタイヤ、最新のエアロダイナミクス

グラベライズド(グラベルの影響を受けた)ロードとでも呼びましょうか。具体的にはCannondale SynapseやENVE FRAYです。AnchorのRE8やSCOTT Addict(無印)もグラベルの影響を強く感じます。そして私が今回買ったバイクもこの類です

もちろん古典的なエンデュランスロードとグラベライズドなエンデュランスロードの境目は曖昧です。はっきりとこうだ!と言い切れるようなラインがあるわけではありません。また、メーカーによってもこの辺の色付けにグラデーションがあります

しかし間違いなく、エンデュランスロードには”レースへのアンチテーゼ”に加えて、“舗装路へのアンチテーゼ”という意味が付け足されつつあります

 

グラベルが打ち込んだ”引き返せない楔”

前段で「グラベルバイクの影響」と書きました。それはいったいどんなものでしょうか?

シクロワイヤードのグラベルの歴史を総括した記事にもありますが、グラベルブームの背景には、サイクリストが自動車との競合をリスクと捉えていることがあります

― ここ近年、アメリカではどうして急速にグラベルの人気が高まってきたんでしょうか? 根本には何がありますか?
ニック:サイクリストが舗装路で危険を感じているからだろうね。スマートフォンを見ながら運転する危険なドライバーがたくさんいるからね。それに車の交通量も増えている。だから車の行き来が少ない、サイクリストにとってより安全なグラベルを選ぶんだろう。

https://www.cyclowired.jp/microsite/node/370899

付け足すなら、安全性向上のために車格が年々拡大していることも影響しているでしょう。道幅は変わらずに車の幅が広くなっています。いきおい自転車が通れるスペースはどんどん狭くなる。 「グラベルライドの魅力は自動車が通らない道を走ること」 なのは間違いありません。自分もグラベルライドにハマって以降、バイパス道路などの交通量の多い道をかなり積極的に回避するようになりました。

グラベルブームによって多くの人が交通量の多い道路を走ることをストレスと感じるようになりました。そして、そのトレンドはロードバイクにも波及してエンデュランスロードの設計に反映されているのだと思います。サイクリングロードを流すのんびり自転車ではなく、未舗装路も走れる自転車へ。エンデュランスロードのグラベル化にはこういう背景があります

ある種のテクノロジーが社会を変えると(楔で岩が割れて二度とくっつかないように)それ以前には戻れないこと、これをアルビン・トフラーは「引き返せない楔」と呼びました。グラベルカルチャーがサイクリングの世界に、「車と競合しない世界線」という楔を打ち込んだと言えます

 

新しいエンデュランスロードが持つ”若さ”

古典的なエンデュランスロードには “上がりバイク”としての老成したイメージ がありました。それに対して、新しいグラベライズドなエンデュランスロードは ”冒険”という若々しいイメージ を獲得しつつあります。思いっきり正反対のイメージです。矛盾するイメージのはざまで、プロモーションに迷いを感じるメーカーもあります。。。何がエンデュランスロードのターゲットなのか見極めているところなのかもしれません

これから数年かけて”エンデュランスロード”がどんなイメージで定着するのか、興味深くウォッチしたいところ

コメント

タイトルとURLをコピーしました