オリジナルのロードバイク インプレ編(ICAN A9)

今回は走行編。

くみ上げて200㎞ほど乗ったのでインプレッション。ヒルクライムはヤビツ峠で、平坦なところは普段走っている市内の周回路でテストした。この周回路は何百周と走っているので、些細な変化を感じやすい。主な比較対象は今までメインで乗っていたリドレーヘリウム(2013)。
インプレッションは、フレーム起因なのかホイール起因なのか、あるいは変速系なのか、ディスクブレーキなのか、そういうのははっきり切り分けられない部分もある。フレームの、というよりはバイクトータルの印象ということでひとつご理解いただきたく。

フィッティング

ライダーは身長177センチ。サイズは52。サドル高690mm。一体型ハンドルバーは、ステム長110mm、リーチ80mm。
ステム/ハンドル一体型を組むためポジションの変更が難しくなる。そのため、こちらのサイトを参考にわりにちゃんとジオメトリー計算をした。ブラケット位置を算出するこの方法は合理的で非常に使いやすい。海外通販等で試乗出来ない場合は絶対使いたい。
www.chn-bikes.com

 

計算上のブラケット位置は、今までメインで乗ってたヘリウムに対して11mm高く、5mm手前にくる(はず)。
ただ、後述の通りブラケット位置に制約があり、当初想定よりブラケット位置はすこし低くなった。ちゃんと計ってないけどヘリウム比で5mm高い程度かな?跨った感じばっちり。ハンドル形状が異なるので少し違和感あったがすぐ慣れた。
自分は脚も腕もあまり長くなく、フィッティングは結構小さめが好きだ。同じくらいの体格のライダーで標準的な手足の長さなら、ひとつ上の54を検討しても良いかもしれない。

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フィッティング

剛性

ライダーは身長177㎝、体重70kg、FTP280W(PWR4倍)。ごく普通のアマチュアライダー。そこから見ると普通に硬い。けど硬すぎるってことも無い普通の硬さ。エアロフレームって縦が強くて横が弱い印象あるけど、左右に振り回してもよれる感覚は無いな。本当に普通(に硬い)。ヘリウムが3なら4相当といったところ。S-works Tarmacは確かSL3が過去最高に硬かったっけ?以前乗せて貰ったことがあるが1踏み目からガツンと脚に来た記憶がある。そういうガチガチに硬いのとは明確に異なるフィーリング。巡行から腰を上げて加速するのもスムーズで遅れ無し。T800/T700をブレンドして使ってるとのことだけど、この剛性感は良くできてると思う。ちなみにチェーンステイは自分が今乗ってるMTBより太く、剛性感あるぞ!と主張してくる。どの程度寄与しているかは不明だけどw
そういえばインプレ記事で良くみかける「ウィップ感」みたいの、自分はいまひとつ分からない…鈍感なもんでw。いやクロモリはなんとなく分かるんだけど。カーボンとレーシーなアルミは全然分からん。

平坦

乗り出した瞬間からエアロを感じる。街乗りですらすーっと進む。感動。もちろんそれもすごいが、本領は35㎞/h以上の速度域。やはりというか、40㎞/h前後の巡行がすごく楽。エアロまじエアロ(語彙)。ホイールが38mmから50mmになったのもあり、どこまでフレームの影響かは切り分けが難しいところだが、エアロフレームの恩恵ははっきりと感じる。専用のエアロハンドルは操縦桿握りしたときにフラットなところに手首を置けて、体幹に負荷を掛けずに低い姿勢が維持しやすい。これも平坦が楽に感じる理由だと思う。こんだけエアロだと、横風で挙動が不安定になるかと若干心配だったが、今のところそういうひやっとするシーンは無し。ヘリウムが3なら5。
ポジションのせいなのか何なのか、気持ちケイデンスが上がったような印象。100~105くらいがなんとなくスイートスポットな感じ。以前、ごん太クロモリのChinelliのVigorelliに乗ってたときは90~95くらいが快適だなぁって思ったので、バイクによって結構差異があるな。これは結構高回転でクルクル回すのが向いてる。

スプリント

断っておくと自分はドの付くルーラー。スプリントとか言っても4桁がほんの一瞬出るくらいで、ぜんぜんしょぼい。たぶんピュアスプリンターが乗ったら全く別のインプレッションになるんじゃないかと思う。まぁあくまで評価というものは相対的なもんです。
そういう自分からしてもこいつはやばい。50㎞/h超までスルスル伸びる。硬くて伸びるというよりエアロダイナミクスが良くて空気を切り裂いて加速していくような、バイクだけ先行したがるような感覚。ヘリウムだと40㎞/h後半くらいからかなりきつく感じていたので、こりゃすごいな!という印象。スルーアクスルってこともあり、振り回してもがっちり力を受け止めてくれる。ほぼホリゾンタルなので重心が高く、左右へ振り回したときにややもたつく感覚がある。これは低ケイデンスで大きく振るより、高ケイデンスで細かく振ると解消された。そういう癖なんだろう。
巻島先輩みたいなばったんばったん倒す走りには向いてない。
まぁいずれにしてもすごいです。ヘリウムが3に対して5。

快適性

タイヤはヘリウムと同じヴィットリアコルサチューブラー25Cを履いてるが、さすがにヘリウムより落ちる。ヘリウム3に対して2.5。綺麗な舗装面なら問題は無いが、荒れているところは若干不快。ストレートフォーク、ガチガチの一体型ハンドルバーが影響しているな。もちろん手がしびれるほどではないけど。体重70kgで空気圧100PSIだとヘリウムは問題なかったのだが、A9は少し高いようだ。今は適正値を探りながら85~95あたりで試行錯誤中。

コーナリング

抜群。CXバイクのようにBBを中心にクルリと車体を回すクイックな旋回性。ひらひらと走り回れる。CXやってるチームメイトも乗ってみてハンドリングがシクロクロスっぽいと言ってたので気のせいではなさそう。かと言って直進性も悪くもなく、よそ見するとそちらに行っちゃうような神経質さは無い。かなり速度が上がっても走行ラインは自由自在。クリテのような集団がぐちゃっとまとまっているところでは相当良いんじゃないかな。もう少しまったりしたハンドリングを想像してたので、ほんとこれは意外。ストレートフォークが良いのかスルーアクスルのホイールが良いのかジオメトリーが良いのか、たまたま自分のフィッティングがマッチしたのか。ヘリウム3に対して5。というか過去乗ったバイクの中で一番これがハンドリング良いね。

ヒルクライム(とダウンヒル)

ヒルクライムはヘリウム3に対して2.75くらい?ヤビツ峠でタイムアタックしたけど、明確な差はなかった。とはいえPR更新も出来なかったので良くも無い。ヒルクライムは、エアロもスルーアクスルも活きてこないので、このバイクの良さが引き出されない。サドルポジションがまだきっちり決まってないのでその辺固めるともう少し印象良くなるか?低速のヒルクライムだとステムやトップチューブに汗が大量に落ちて不安…。ベアリングに入りませんようにとひやひや。
ダウンヒルは採点しないけど、特に不安感無し。コーナー直前のハードブレーキングでもフォークがビビったりしない。ただ、ディスクロードは人生初なので、限界ギリギリのブレーキングはまだ未体験。いきなりタイヤがロックしそうでガツンとはやれてない。ものすごく上の速度域(70㎞近く)だとハンドルが風に煽られ、ややフワフワした感覚があった。日常ではあまり突入しない速度域だからあれだけど。というかそもそも、ヘリウムではこんな速度出なかったような。
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【2021年6月追記】
その後もう一回ヤビツ峠でヒルクライムした際にPBを2分近く更新。「名古木セブン~ヤビツ峠」区間で40分切り。富士ヒル換算で80分切り相当なのでまぁまぁ。同行したチームメイト曰く、蓑毛終わってから急にペース上がった、とのことなのでやはり緩斜面に強いのだと思う。

 

こんな感じかな

総合評価

総合的に考えると、獲得標高の小さい、割と平坦なレース向け。タイトコーナーの多いクリテリウムにも良いと思う。筑波サーキットなんか最高なんじゃないかなぁ。大磯も良いだろう。いっぽうで登りがあるCSCや茂木はどうかな~。あんま得意じゃなさそう。袖ケ浦みたいに登りが短いなら勢いでそのまま行けるか?まぁ登るならもっと軽量に仕上げたい。現状ペダル、ボトルケージも込みで7.6kgだけど、もう少し絞るとさらに良くなるかもなぁ。
ロングライド?ブルベ?ツーリング?28Cタイヤにしちゃえば快適性は確保できると思うし、ロングもいけそう。ただし構造的にベアリングが錆びると交換が非常にややこしい(ケーブル全交換が必要)ので、そこを考えるとちょっとやる気になれない。

 

耐久性はロングタームで判断したいところで保留。たぶん自分の使い方(週末に強度高めの練習を100㎞程度)だと、落車以外で壊れることはないんじゃないかな。壊れる前に規格が時代遅れになると思う。

 

一か所気に入らないのはハンドル。ブラケットの固定位置が少し下寄りでしか取り付けられない。上にしようとするとハンドルがエアロ形状に変化して突っかかる。上向きに付けたりはしないけど、ハンドルバーの角度変更が出来ないんだからせめて調整幅はもう少し欲しかった。

 

2021年はUCIのフレーム規定が変わって、これからどんどん新しい規格のフレームが出てくるだろう。ロードもMTBのようにガンガン新しい規格が出てきて忙しなくなる時代に突入かな?そういう背景だから、安価なフレームをチョイスしたのは正解だったように思う。いや金があれば毎年トップグレード買えば良いんだけどねw
総合満足度は、100点満点中85点くらい!

工具について

コメント

  1. emeraldwar より:

    興味はあるものの、なかなかインプレ記事の少ないバイクなので貴重な記事をありがとうございます。
    ちなみに、紐式で組まれていたようですが、こちらのケーブル内装方式 (Dedaに似ている?) は輪行時などにハンドルを左右に倒し切ることができるタイプなのでしょうか?

  2. kisuke1234 より:

    ID:emeraldwar
    この手の機材のインプレは人柱としての義務だと思ってます(笑)
    ヘッドセットは基本構造はDedaやFSAと同じと思われます。ロック機構のようなものはありませんので、ハンドルを目いっぱい切ることが出来ます。ただし、ダウンチューブ内のケーブルに余裕を持たせておかないと途中でひっかかりがある場合があります。ご参考まで。

  3. emeraldwar より:

    ご返信ありがとうございます。
    人柱というとあれですが、ステムのネジの話等も大変参考になりました。(別トピックですがケーブル内装方式のまとめ記事も大変参考になりました)
    ハンドルはしっかり切れるのですね。
    店舗に行って触る、というのができない製品なので助かります。また、ご質問させていただくかもしれません。
    ありがとうございました。

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